管理職の労働時間管理をしていますか?放置は危険です!
「管理職には残業代がつかないから、労働時間はそもそも管理していない。」というような話を耳にすることがあります。
確かに一部管理職の方には、残業代などは発生しません。
しかしだからといって管理職の労働時間管理をしていなければ、管理職は長時間労働に陥る危険性があります。
最近では、長時間労働に対して非常に厳しい目が向けられているため、管理職の勤怠管理も徹底しなければなりません。
そこで今回は、管理職に対する法律上のルール、勤怠管理の必要性、過労死ラインなどについてお伝えしたいと思います。
管理職の法律上の地位
管理職の方が、労働基準法上の「管理監督者」に当たる場合、時間外手当や休日手当を支払う必要がなくなります。
さらに管理監督者は現在、「労働時間を適正に把握するためのガイドライン(厚生労働省発行)」の適用対象になっていません。
このようなことから、管理職と呼ばれる従業員に対する、勤怠管理がずさんになることは少なくありません。
しかしある大手新聞によれば、管理監督者の長時間労働を防止するため、今後管理監督者についても厳格な勤怠管理が義務化されるとの報道がありました。
また義務化の有無に関わらず、管理監督者についても勤怠管理を徹底しなければならない実質的な理由は数多くあります。
管理監督者への勤怠管理の必要性
管理監督者に対しては、確かに残業代や休日手当を支払う必要がありません。
しかし実は、深夜手当については、支払う必要があります。
したがって、深夜手当が付く22時~5時の労働があったかどうかを判断するため、管理監督者についても勤怠管理をする必要があるのです。
またどれだけ働いたか管理されないような状況では、従業員側としても、ついついだらだらと仕事をしがちになります。
したがって、業務効率化の観点からも、勤怠管理は重要です。
さらに近年では、長時間労働による過労死が社会問題となっています。
労働時間が長くなるほど、過労死の危険性が高まると考えられるため、労働時間が長くなりがちな管理職には注意が必要です。
特に今後は働き方改革の影響で、一般社員の労働時間を削減することにより、管理職にしわ寄せが行くことも十分に考えられます。
心身に不調をきたす目安となる労働時間が、研究によって徐々に明らかになってきていますが、そもそも管理職の労働時間を把握していなければ、そういった目安を役立てることはできません。
長時間労働により、健康被害等の問題が起こった場合、企業に安全配慮義務違反等の責任が問われることも考えられます。
また万が一過労死認定されるようなことが起きた場合、大切な従業員が失われることはもちろん、企業のイメージが失墜すること等も含めて、その損害の大きさは計り知れません。
そのような事態を避けるため、管理職に対しても勤怠管理が必要となってきます。
長時間労働の危険性
長時間に渡る労働は、従業員の心身を害する大きな要因となり得ます。
厚生労働省によれば、週40時間を超える時間外・休日労働が、月に45時間を超えて長くなればなるほど、健康被害のリスクが徐々に高まるとされています。
そして時間外・休日労働が単月で100時間を超え、または2ヵ月から6ヵ月の平均で月80時間を超えると、非常に高いリスクがあるとされています。
単月100時間及び2ヵ月から6ヵ月平均して月80時間という基準は、過労死ラインなどと呼ばれることもあります。
2018年9月現在では、36協定を適切に締結していれば、ほぼ無制限に労働を行わせることが可能です。
しかし上記のように、加重労働は、従業員の心身を害する危険があります。
そこで管理職についても、労働時間を正確に把握し、健康状態に配慮する必要があるのです。
また、労働によって健康を害する要因となるのは、労働時間の長短だけではありません。労働内容や職場環境など多様な要素が関連してきます。
現在、仕事に関することで、強い不安やストレスを抱えている従業員は5割を超えていると言われています。
そこで会社は、従業員の不調のサインに気付き、必要に応じて専門家等につなげることが重要になってきます。
そのために有効なのがストレスチェックです。
以下のページから、厚生労働省が作成しているストレスチェックプログラムをダウンロードすることができます。
こちらのプログラムは、従業員個々のストレスチェックの実施から、結果の集団分析等までできるものとなっておりますので、よろしければご活用ください。
「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」ダウンロードサイト
以上のように、長時間労働は従業員の心身に悪影響を与えます。
管理職だからといって放置せず、勤怠管理やストレスチェックをしっかりして、健康に働いてもらえるようにしたいですね。