CLOUZA COLUMN

勤怠管理コラム

貴社ではどのように「働き方改革」に取り組んでいますか?

第三次安倍内閣が「一億総活躍社会」実現のために労働環境の是正や多様な働き方である「働き方改革」を掲げました。
それは、日本の人口減少社会を背景として、労働力が減少しても、国全体の生産を維持・向上させるために、それを阻害している要因である長時間労働や非正規雇用に対する処遇を改善していくことが取り上げられています。

働き方改革には「働き方」を変えるというだけでなく「休み方」を見直すというアプローチもあります。
従業員の多様な働き方や希望にあわせて年次有給休暇を有効活用するために、「時間単位年休」導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

有給休暇って、どれくらい取得されているの?

厚生労働省が発表した平成 28 年「就労条件総合調査の概況」の年次有給休暇の取得状況によると、1年間の有給休暇付与日数(繰越分は除く)は労働者1人平均18.1日、そのうち労働者が取得した日数は8.8日で、取得率は48.7%となっています。

時間単位年休(有給休暇を時間単位で取得できる)制度がある企業割合は 16.8%となっており、まだまだ導入が整備されていない状況です。

時間単位年休取得の用途としては、本人の病気等の通院、家事・育児・子供の行事へ参加が上位を占めています。
有給休暇取得について、1日単位や半日単位だと取得が難しい場合でも、時間単位で有休が取得できるのであれば、使いたいと思っている社員も多いのではないでしょうか。

 

時間単位年休を導入するため必要なこととは?

時間単位の有給休暇を導入するためは、就業規則の変更と労使協定の締結を行います。

時間単位年休は「休暇」に関する事項のため、就業規則の必要記載事項になります。
10名以上の従業員がいる会社の場合は、就業規則の変更後、労働基準監督署へ届出をする必要がありますが、労使協定については、労働基準監督署へ届け出る必要はありません。

<記載内容>

  1. 時間単位年休を取得できる従業員の範囲を決める
  2. 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数
    ※年に5日分を上限とされています(労働基準法39条4項2号)
  3. 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇1日の時間数
  4. 1時間以外の時間を単位として有給休暇を与えることとする場合には、その時間数

労使協定を締結したからといって、個々の労働者に対して時間単位による年休の取得を義務づけるものではないので、労働者の意思で時間単位、もしくは、日単位での取得を決めることができます。

 

実際に時間単位年休導入したら?

時間単位年休を繰り越すときは、日ごとに取得した時間単位年休数を合計し、1日の所定労働時間(就業規則などで決められている所定の始業時刻から終業時刻までの時間)に換算して算出します。
パートなど短時間勤務の従業員では、1日分所定労働時間数が契約によって異なる場合は、それぞれの異なった時間数によって有休日数を換算する必要があります。

■社員
1日の所定労働時間が8時間、年間の有休付与日数が10日、20時間の時間単位年休取得した場合、取得した20時間を1日に換算すると有給休暇日数2日と時間単位年休4時間となります。
繰り越しをする有休残は、10日から2日と4時間をマイナスして、7日と4時間となります。
■パート
1日所定労働時間が5時間、年間の有休付与日数が6日、20時間の時間単位年休取得した場合は、取得した20時間を1日に換算すると有給休暇日数4日となります。
繰り越しをする有休残は、6日から4日をマイナスして、2日となります。
もし、所定労働時間が1日7時間45分で1時間に満たない時間があるときは、8時間に1時間に繰り上げをし、従業員が不利益にならないようにします。

 

時間単位年休を導入するにあたって注意することは?

年次有給休暇の利用目的は労働者の自由であることから、対象となる従業員を利用目的(たとえば、「3歳以下の子がいる者に限定」など)によって定めることはできません。

ただし、一斉に作業を行うことが必要とされる業務に従事している担当部署については、時間単位年休の付与が事業の正常な運営と両立しない場合には、時間単位年休の対象者から除外することが可能です。

時間単位年休は、労働者が請求した時季に年次有給休暇を与える制度ですが、その請求した時間単位年休取得により事業の正常な運営が妨げられるときには、使用者は年休取得を拒否することができます。
時間単位年休を取得できる事業場からできない事業場へ異動した従業員に対して、年休取得の権利が阻害されないように、異動の際は日単位の年休に切り上げる等の措置を労使間で定めておく必要があります。

また、平成29年9月の働き方改革を推進するための法律案要綱では、年次有給休暇日数が10日以上の従業員に対して、使用者が計画的に年間5日分の年休付与する「年次有給休暇の計画的付与制度」が義務化される方向ですが、時間単位年休での取得した有休分を計画的付与年休として与えることは認められていません。

 

時間単位年休導入のメリットとデメリットは?

時間単位年休導入のデメリットとしては、時間単位年休管理を紙やExcelで行う場合は、労務担当者の作業が煩雑になり、ミスが起きやすくなる可能性があるということでしょう。

また、時間単位年休取得のルールを決めておかないと、上司の知らない間に時間単位年休を取得するなど職場の秩序を乱す恐れがあります。

時間単位年休導入のメリットとしては、時間単位での有給休暇取得によって、子育て世代や親の介護世代にとって家庭の事情に対応できるので働きやすくなることや、少しの時間でも有効に使いたいと思っている従業員とっても、気兼ねなく休みがとれるので、ゆとりが生まれて働きやすさにつながることではないでしょうか。

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