CLOUZA COLUMN

勤怠管理コラム

最近では、有効求人倍率が1.6倍を超えるなど、人手不足と呼ばれる時代になってきています。
企業としては、採用したくてもなかなか人が採れないところですが、そんな時「休憩なし」のパート募集が役に立つかもしれません。
一部には、「休憩を取らないことで拘束時間を短くして、効率よく勤務したい」という需要があるからです。
そこで今回は休憩に関する法律上の決まりや、休憩に関する就業規則などの定め方などについてお伝えしたいと思います。

 

最近の求人状況について

ここ数年の有効求人倍率は、右肩上がりで急上昇しています。
わずか10年程前には、0.5倍程度だった求人倍率が、今や1.6倍を超えています。
1.6倍ということは、求人募集16人に対して、応募が10人しかないということです。
これはなんと44年ぶりの高水準だそうです。
有効求人倍率は景気指標の1つですから、日本としては好景気だと言えるでしょう。
しかしいくら好景気で仕事が増えても、働いてくれる人を確保できなければ、利益を伸ばすことはできません。
したがって今後は、求人の方法を他社と差別化して、より多くの人材を確保していくことに注力する必要があります。

もちろん休日を増やす、給料を増やすといった措置を取れば人を採りやすくなるでしょう。
しかしそういったことは、経営に余裕があって初めて可能になることで、必ずしもすぐさまできるものではありません。
そこで今回は手始めに、比較的簡単に行える「休憩時間に関する求人力強化策」について考えてみたいと思います。

 

休憩時間の取らせ方について

労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合には45分以上、同様に8時間を超える場合には60分以上の休憩時間を与えなければいけないと定められています。
逆に言えば、労働時間が6時間以下の場合は、法律上休憩時間を与える必要はありません。

しかし多くの企業では、労働時間が6時間以下のパート従業員に対しても、正社員と同様に一律1時間の休憩時間を与えていることが多いように思います。
特に多いのが昼休憩1時間というパターンです。

これに対して一部のパート従業員から不満の声を聞くことがあります。
「自分は昼ごはんを食べる必要がないから、休憩時間をなくして、その分早く帰りたい。」という不満です。
そもそもパート従業員は、子育てや家事など仕事の他にもやるべきことが多いから、パートタイムで働いているという人が少なくありません。
そうすると、休憩時間を取るよりも早く帰って他のことをしたい、と考える人もいるでしょう。

そこでおすすめなのが、求人をする際に、「休憩なし」という選択を設けることです。
1日5時間勤務のパート従業員が欲しいのならば、9:00~15:00(お昼休憩1時間)もしくは9:00~14:00(休憩なし)という2つの選択肢を設けるということです。
会社の状況が許すのであれば、8:00~13:00などという選択肢もあれば、できるだけ早い時間に仕事を終えたいと思う求職者に響くかもしれません。

休憩時間はもともとお給料が発生しませんので、そこを削ったとしても給料が減ることはありません。
とにかく拘束時間を短くして効率よく勤務したいという方にはおすすめできます。

【関連ページ】
残業させたときは、休憩時間を取る必要がある?

>>労働時間・休憩・休日関係|厚生労働省

 

休憩時間を巡る労使協定、就業規則について

以上のように個別の事情に対応すると、休憩時間の開始が各自バラバラになることも考えられます。
しかし休憩時間は原則として事業場で一斉に与えなければならないとされています。
したがって、休憩を一斉に与えられない場合は、労使協定を締結して、交代制での休憩などが認められるようにしておく必要があります。
ただし一斉休憩になじまない特定の業種(運送業、金融業など)は、もともと一斉に休憩させる必要はありません。

また従来全従業員を、お昼1時間休憩で固定していた会社の場合、就業規則に「12:00~13:00を休憩とする。」といった定めがある可能性が高いでしょう。
就業規則は実態に合わせる必要がありますので、休憩時間に関する運用を変更するのであれば、就業規則も変更する必要があります。
例えば、「休憩時間は、各自の契約において定める。」などという規定を追加することが考えられます。
この辺りのことに関しましては、弁護士や社会保険労務士にお電話などで相談されてもよいかもしれません。

 

まとめ

すぐに取りかかることができる人手不足対策として休憩時間なしの求人についてご紹介しましたが、やはり本質的に人を採りやすくするためには、求職者が働きたいと思う職場にすることが必要不可欠です。
例えば職場アンケートを定期的に行い、従業員の悩みを聞きだして解決する、あるいはフレックスタイム制や在宅勤務を認めて、柔軟性のある勤務を認めるなど、働きやすい職場作りの方法は無限大です。
働きやすい職場であれば既存の従業員も辞めにくくなるでしょうし、仕事の生産性も上がってくるでしょうから、相乗効果も期待できます。
他にも政府の認証を受けて、企業ブランドを高めるという手もあります。
例えば、従業員の健康に気を配っている企業を認定する「健康経営優良法人認定」、仕事と子育ての両立に配慮した企業を認定する「くるみん認定」などがあります。
人手不足、生産性向上といった現代の経営課題を解決するため、これを機に「働きやすさ」に焦点を当てた取り組みを、始められてはいかかでしょうか。
>>Q7:労働時間・休憩・休日関係|厚生労働省