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フレックスタイム制導入における勤怠管理について気をつけるべきポイントとは?

フレックスタイム制導入における勤怠管理について気をつけるべきポイントとは?

最近では、労働者の価値観やライフスタイルの多様化に対応して、働き方に関するニーズが多様化しています。その中で、出社時間や退社時間を個々の従業員に委ねる「フレックスタイム制」は個々人に合った働き方ができるという点で、注目を集めています。

ただしフレックスタイム制は、従業員ごとに勤務時間が異なるため、勤怠管理が少々複雑になります。
そこで、今回はフレックスタイム制の概要、メリット・デメリット、導入方法、勤怠管理の仕方といったことについてお話します。

 

フレックスタイム制とは?

一般的にフレックスタイム制では、コアタイムとフレキシブルタイムとを設けます。
コアタイムとは必ず勤務しなければいけない時間帯で、フレキシブルタイムとは選択により勤務することのできる時間帯です。

よくある例としては、

6時~10時:フレキシブルタイム=その間にいつ出勤してもよい
10時~15時:コアタイム=必ず勤務しなければならない
15時~19時:フレキシブルタイム=その間にいつ退社してもよい

といった具合です。
この場合、従業員はその日の労働を、10時~15時と短くしてもよいし、6時~19時と長くしてもよいことになります。(もちろんそれ以外のパターンでもOKです。)

ただし、毎日好きに選択していたら労働時間がめちゃくちゃになってしまいます。
そこで、管理責任者と従業員の間で、一定期間における労働時間の総計を決めなければいけません。
一般的には1ヶ月単位で総労働時間を決めることが多いです。

そこで例えば「1ヶ月の総労働時間を160時間とする」と決めたとします。
この場合、1日1日は、上記のように従業員の選択によって労働時間を決めることができますが、1ヶ月の労働時間を合計して160時間になることを目指して働いてもらう、ということになります。

総労働時間には、法定の上限があることに注意が必要です。
これらについて詳しくは後述します。

 

フレックスタイム制のメリット・デメリット

フレックスタイム制は従業員に対して、以下のようなメリットをもたらします。

  • 通勤ラッシュを避けることができる
  • 子どもを幼稚園へ送ってから出社する、早めに退社して役所や銀行へ時間内に行くなど、仕事と生活の調和を図ることができる
  • 時間の束縛感から精神的に解放される

以上のようなメリットはつまり、従業員が気分良く働くことができるということですから、仕事の能率アップややる気の向上につながることも考えられます。
そういう意味では、会社にとってもメリットがあると言えます。
また、フレックスタイム制を導入することで、求職者から人気が出て、より優秀な人材を獲得しやすいとも言われています。

一方で同制度は以下のようなデメリットがあると言われています。

  • 通常は勤務しているはずの時間帯に勤務していないことがあるので、取引先からの連絡や社内のトラブルなどに対応できないことがある。
  • ルーズな性格の社員に対してフレックスタイム制を導入すると、いい加減な働き方を助長してしまう可能性がある。

もっとも、コアタイムを設けてその時間にできるだけ対応を済ませることで、1つ目のデメリットはある程度解消することができます。
また、情報共有を徹底することで、他の社員であっても対応できる状態にしておくのも大切でしょう。

さらに、日々の勤務時間の選択を従業員に任せながらも、勤務時間や仕事内容を会社側でしっかりと把握することで、2つ目のデメリットも解消できると思います。
また、運用がうまくいかなそうな従業員は初めからフレックスタイム制の対象者にしない、ということも考えられます。対象者については、労使協定により、自由に定めることができます。

 

フレックスタイム制の導入方法

フレックスタイム制を導入するためには、就業規則に「出社時間及び退社時間を従業員に委ねる」旨記載しなければなりません。
コアタイム及びフレキシブルタイムを設ける場合は、コアタイム、フレキシブルタイムがそれぞれいつからいつまでなのかも記載しましょう。

さらに労使協定において、以下の事項を決定しなければいけません。

  • フレックスタイム制適用対象者の範囲
  • 総労働時間を測る期間(「清算期間」と呼ばれます。)
    一般的には1ヶ月を単位とすることが多いですが、その場合は具体的に「1日~末日」とか「16日~翌月15日」といった具合に決める必要があります。
  • 「清算期間」中の総労働時間
    仮に1ヶ月単位で計算することにした場合、「1ヶ月○○時間」と具体的に時間数を決めてもよいですし、「1ヶ月の間の所定労働日×○時間」という決め方もできます。
    ただしいずれの場合にしても、総労働時間には法定の上限があります。
    清算期間を1ヶ月とした場合、各月に日にちが何日あるかによって上限が変わります。
    原則として、31日の月ならば177.1時間、30日の月で171.4時間、29日の月は165.7時間、28日の月の場合160時間となっています。
  • 標準となる1日の労働時間
    フレックスタイム制では1日あたりの労働時間は従業員が決めることができます。
    しかし有給休暇の際に支払われる賃金の計算などのために、1日の標準労働時間を定めておく必要があります。
  • コアタイム、フレキシブルタイムそれぞれの開始時間及び終了時間

 

フレックスタイム制での時間外労働

フレックスタイム制であっても、会社は従業員の労働時間を適切に把握しなければなりません。
なぜならばフレックスタイム制であっても時間外労働が発生するからです。

例えば2月度につき、日にちが28日までだったと仮定すると、法定上限となる総労働時間は160時間となります。そこで、清算期間を1ヶ月、総労働時間を160時間と定めたとします。この時、従業員が清算期間中に170時間働いたとすると、賃金はどうなるでしょうか。

この場合、法定上限を10時間超えてしまっているので、その10時間分が時間外労働となります。

このようにフレックスタイム制であっても時間外労働が発生しますし、時間外とならない場合であっても、従業員の労働状況を把握することは会社の義務ですから、やはり勤怠管理をしっかりとしなくてはなりません。

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