CLOUZA COLUMN

勤怠管理コラム

 

労働災害(労災)とは、業務もしくは通勤を原因として発生した怪我や病気を指します。
労災が認定されると、様々な給付を受けられることがありますので、どのようなケースが労災に当たるかが重要です。
そこで今回は労災に当たるか否かの判断基準についてお伝えします。

労働災害とは

労災には、大きく分けて「業務災害」と「通勤災害」があります。

前者は業務を原因として労働者が負傷、疾病などに遭った場合、後者は通勤中に労働者が負傷、疾病などに遭った場合を指します。
労災が発生した場合、災害に遭った労働者を保護するため、労災保険から労働者に対して給付が支給されます。

そのため、一定の条件を満たす農林水産業など、一部の例外を除き、労働者を1人でも使用する会社は必ず労災保険に加入し保険料を納めなければなりません。
労災保険料は全額会社が負担します。

労災の対象となるのは原則として全ての労働者です。
性別、年齢、国籍、正社員・アルバイト、などを問わず対象です。
ただし、下請人、自営業者、同居の親族、法人の代表者などは対象となりません。

 

どんな場合に業務災害になる?

業務に関連して発生した負傷、疾病などが必ずしも業務災害と認定されるわけではありません。

業務災害と認定されるか否かは、以下3つの分類に基づいて考えます。

1.事業主の支配・管理下で業務に従事している場合
事業場の施設内で業務に従事しているような場合や、作業中のトイレ等の生理的行為などを指します。
通常、業務災害と認められますが、以下の場合は、業務災害とはなりません。

  • 業務中に私的な行為を行っていた場合
  • 労働者が故意に災害を発生させた場合
  • 労働者が個人的なうらみなどにより、第三者から暴行を受けて被災した場合
2.事業主の支配・管理下にあるが、業務に従事していない場合
事業場内で休憩を取っているような場合を指します。
休憩中の行為は、業務と直接関係のない私的行為であるため、原則として業務災害になりませんが、事業場の施設・設備や管理状況などがもとで発生した災害は業務災害となります。
3.事業主の支配下にあるが、管理下を離れて業務に従事している場合
出張中や事業場の施設外での業務(運搬、営業など)を指します。
施設外であっても、業務を行っていることに変わりはないため、原則として、1と同様の判断です。

ただし、上記はあくまで目安にすぎず、業務災害では、微妙な事案の違いによって、結論が異なることもあり得ます。

特に疾病の場合は、長年の労働の結果発症することもあり、認定が複雑になることも少なくありません。
業務災害に該当するかもしれない事案が発生した際は、ご自身で判断されず、弁護士や社労士など専門家にご相談されることをお勧めします。

>>厚生労働省 業務災害とは(業務上の負傷・疾病)

 

どんな場合に通勤災害になる?

通勤中に発生した負傷、疾病などについても、必ずしも通勤災害と認定されるわけではありません。
通勤災害と認められるか否かは、以下のような観点から考えます。

1.移動について
「通勤」は、自宅から会社に向かうときだけでなく、会社のある拠点から別の拠点へ向かう場合も含まれます。
さらに単身赴任者が、一度自宅へ帰省する場合や自宅から赴任先の就業場所へ出勤する場合も、「通勤」に含まれることがあります。
2.通勤の経路、方法について
特段の合理的な理由もなく、著しい遠回りとなる経路をとる場合などは、「通勤」に含まれず、通勤災害とは認められません。
一方で、当日の交通事情により迂回した場合など、合理的な理由があれば、「通勤」に含まれます。
3.逸脱、中断について
労働者が移動の経路を「逸脱」し、または移動を「中断」した場合、逸脱・中断の間及びその後の移動は「通勤」となりません。

「逸脱」とは、通勤の途中で就業や通勤と関係ない目的で合理的な経路をそれること、「中断」とは、通勤の経路上で通勤と関係ない行為を行うことです。
ただし、経路上の自動販売機で飲み物を買う、公園のベンチで短時間休息するといったささいな行為は、逸脱もしくは中断とはなりません。
一度逸脱または中断してしまったら、その後の移動も含め、「通勤」とはなりません。

しかし、以下のような行為は例外的に、逸脱または中断の間を除き、合理的な経路に復した後は再び通勤となることがあります。

  • 日用品の購入その他これに準ずる行為
  • 病院または診療所において診察または治療を受けること、その他これに準ずる行為

あくまで合理的な経路に復した後のことであり、逸脱または中断の最中は「通勤」とならないので注意が必要です。

災害が発生した際、たまたま通勤に関係ないことをしていたばかりに、労災の給付が受けられないことも考えられますので、通勤途上の行為には慎重になりましょう。

>>厚生労働省 通勤災害について

 

まとめ

労災はいつ発生するか分かりません。

判断基準の枠組みを理解していれば、万一、何らかの事故などが発生した場合、適切な対処ができるかと思います。
労災が認定されると給付を受けられますが、様々な種類があり、支給条件も複雑に定められています。

次回は、労災給付の種類、支払い条件、手続き方法について詳しくお伝えします。