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勤怠管理コラム

働き方改革により雇用形態や仕事をする場所や、労働時間に対する価値観も多様化し、ライフスタイルに合わせてさまざまな働き方をする社員、またそれを推奨する企業が増えています。

パソコンはもちろんスマートフォンのアプリからでも、クラウド化されたシステムを利用して打刻ができるようになり、タイムカードが主流だった時代から勤怠管理の方法は様変わりしました。
社員のニーズや働き方に合わせた方法で勤怠管理ができれば、タイムカードの押し忘れが減り、人事や総務の仕事を効率化することができます。

また、勤怠管理はただ労働時間を管理するだけでなく、労働基準法に合わせた管理が必要です。
退職した社員から未払いの残業代を請求されてしまう、裁判を起こされてしまうなどのトラブルは避けたいものです。

この記事では、効率よく勤怠管理をする方法をはじめ、勤怠管理のメリット・デメリット、システムの効果的な導入方法の他、労働基準法など法律についても解説します。

 

目次

勤怠管理とは?管理の対象は?従業員の出勤・休日・有給などの記録

勤怠管理ってなに?従業員の就労の記録

勤怠管理は、労働基準法で使用者が行わなければいけない義務と定められています。
勤怠管理とは何か、どのように法律と関わっているのか。勤怠管理の法的意義について確認しましょう。

労働基準法第108条や2017年に新たに策定された『労働時間の適正な把握のために使用者が構ずべき措置に関するガイドライン』(厚生労働省)によって、企業や事業者である使用者には、従業員の労働時間を適切に管理する義務があると定められています。

「勤怠管理」とは労働基準法でいわれる「労働時間を管理すること」で、従業員の労働日ごとの始業時間・終業時間を記録・管理することです。
また記録・管理の方法として、厚生労働省のガイドラインでは、「使用者が、自ら現認すること」、「タイムカード、ICカードなどの客観的な記録を基礎として確認・記録すること」と示されています。

一般的に企業や事業者は、従業員の出勤時間や退勤時間、休憩時間や休暇・休日の取得日数などの労働時間に関する就業規則を定めています。

「勤怠管理」には、従業員と使用者をそれぞれ保護する目的があります。
従業員が、就業規則や労働基準法を適切に守り、適正な賃金の支払いが行われているかを確認・管理し、使用者をさまざまな労務トラブル(従業員の健康や過労、残業代の未払い、賠償責任につながる業務上過失など)から未然に防ぐためです。

勤怠管理が必要な事業所は?雇用が発生する全ての事業所

厚生労働省によると、勤怠管理が必要な事業所は、労働基準法の労働時間の規定が適用される事業所であるとされています。
そのため、会社規模や業種に関係なく、農業や水産業を除く従業員を雇用する全ての事業所において勤怠管理が必要です。

勤怠管理の対象になる従業員は?主に従業員

勤怠管理の対象となる従業員は、管理監督者以外の従業員です。

管理監督者とは、従業員の労務管理における責任者や経営者、管理職の立場や役職がある者などを指します。
また現在ではさまざまな雇用形態がありますが、勤怠管理の対象となる従業員は、直接・間接雇用関係なく、正社員・契約社員・派遣社員・パートタイム労働者となります。

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手書きのタイムカードは有効?ミスを防ぐ勤怠管理方法

手書きでもOK?タイムカードを利用した昔ながらの勤怠管理方法

勤怠管理の方法は多種多様です。
一般的に多く利用されている勤怠管理方法について、それぞれのメリットとデメリットを確認しましょう。

勤怠管理の方法としてこれまで一般的だったのがタイムカードによる勤怠管理法です。
タイムレコーダーに専用のタイムカードを挿入して時刻を記録するこの方法は、パソコン操作などを介さないでも打刻ができるため、誰でも簡単に利用できるメリットがありますが、なりすましによる不正打刻や、カードを確認し集計する手間や負担が大きく、集計のミスが発生しやすいことがデメリットです。
また社内に立ち寄らない従業員の打刻をどうするか、といった問題も生じます。

パソコン・スマホアプリを利用した勤怠管理方法

最近主流となっているのが、パソコンやスマートフォン・携帯電話などのモバイル端末を利用して、出勤・退勤時間の打刻ができるシステムです。
社外で働く従業員も打刻ができるため、社外での仕事の際に打刻のために出社したり帰社したりする必要はなく、打刻忘れを防ぎやすいことがメリットです。
また勤怠データはサーバーやクラウド上で自動的に記録・集計されるため、従来のタイムカード方式と比べ手入力をする手間が削減され、入力ミスも防ぐことができます。

デメリットは、モバイル端末によってはOSとシステムの互換性の確認が必要になる場合があること、外出先でも打刻ができるため従業員による不正を防ぎにくい場合もあるという点です。

手書きやExcelの利用はミスの元?手入力は避けよう

手書きやExcelの表計算ソフトを使って従業員の勤怠管理を行う場合、メリットは労働時間や残業時間などの計算が誰でも手軽に、簡単に行なえることです。
しかし手書きによる記入ミスや計算ミス、Excelを使った場合も入力ミスや表計算のエラーなどの人的ミスは避けられません。
さらに雇用・勤務形態が多様化し、勤怠管理が複雑化している現代にあっては、勤怠管理担当者の負担や工数があまりにかかりすぎるというデメリットがあります。

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簡単操作で効率よく勤怠管理する方法は?管理システムの導入方法

勤怠管理システムとは?大きく分けて3タイプ(クラウド・オンプレミス・タイムレコーダー)

勤怠管理法は、これまで一般的だったタイムカードやExcelを使用した手作業のものから、最近では利便性の高いITを活用した勤怠管理システムが主流となってきました。

勤怠管理システムは、従業員の出退勤の打刻データを記録し、さらに勤怠情報を集計し管理するものです。 また給与計算システムへの連携機能を搭載し、勤怠情報の集計から給与計算に至る手入力によるミスや従業員の工数を大幅に減らすことができるようになりました。

勤怠管理システムには、主にクラウド型、オンプレミス型(パッケージ型)、タイムレコーダー型の3タイプの提供形態があります。

クラウド型は、ネット環境があればどこでも利用できるクラウド式の勤怠管理システムで、現在最も主流となっているものです。 サービスプロバイダーが提供するシステムをオンラインで使用するため、システム導入に当たってサーバー設置などの必要がなく初期費用を抑えることができます。
また料金は従業員数に応じた月額料金という場合が多く運用コストも抑えられることが特徴です。
サポートはプロバイダー側が行うため、社内にシステム担当者が必ず必要ではないというメリットがありますが、自社独自システムとの連携やカスタマイズの自由度はあまり高くなく、就業形態が特殊なケースには対応しきれない場合があるということがデメリットです。

オンプレミス型は、自社のサーバーに専用ソフトをインストールして使用する勤怠管理システムです。
自社にサーバーを置くため、他のシステムと連携がしやすく、自社に適したカスタマイズがしやすいメリットがあります。
既存のシステムとタイムレコーダーを連携したい場合や、複雑な勤務形態のためカスタマイズが必要な場合などにおすすめです。
また社外にデータをアップロードすることがないため、情報漏えいのリスクが低く、高度なコンプライアンスのもとでの勤怠管理が可能となります。
しかし導入にあたってサーバーやネットワーク環境の準備などにコストと時間がかかること、運用や維持をするために自社にシステム担当者が必要となることなどのデメリットがあります。

タイムレコーダー型は、専用のタイムレコーダー端末へICカードや指紋などの生体認証で打刻し、そのデータがPCデータとして保存されるものです。
メリットは、パソコンの操作が苦手な従業員でも簡単に使用できること。さらに従来のように転記したりExcelへ手入力したりする手間が省けることです。 導入コストは専用タイムレコーダー端末と専用ソフト、ICカードなどの費用で、低コストで行えます。
しかし、勤怠情報が電子データとなっているため、データの紛失や流出の対策を万全に講じないといけないということと、パソコンやモバイル端末では使用できないため、社外で労働をする従業員には利便性が悪いというデメリットがあります。

デジタル勤怠管理システム導入のメリットは?

勤怠管理システムによる勤怠管理には、

  • 本人認証が必要なため成りすましなどの不正がしづらい
  • 勤怠データの集計はシステム側で自動に行われるため、勤怠管理に要する工数が大幅に削減される
  • 社外で労働をする従業員や、複数の拠点・部署の就業状況をリアルタイムで把握できるため、長時間労働や業務負荷の程度を知ることができる

などのメリットがあります。

従業員の労働時間を正確に把握することは、法令遵守と労務コンプライアンスの強化に役立ちます。
さらに勤怠管理システムの多くは、出退勤の記録の他に、休暇や残業の申請や承認、シフト設定などもシステム上で行うことができるため、従業員や勤怠管理の担当者の負担や工数が大幅に減り、業務の効率化や経営の効率化、コスト削減に貢献します。

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勤怠管理システムの導入を成功させる方法

導入した勤怠管理システムをスムーズに社内に浸透させて運用を成功させるには、従業員と勤怠管理者、給与担当者全員にとって使いやすいシステムであることが大切です。
自社に合う勤怠管理システムを選ぶ際には次のような観点に注意しましょう。

  • 就業規則や勤務体系とシステムが合うか
  • 打刻方法が従業員の労働環境に適したものか
  • 従業員が使いやすいシステムか
  • サポート体制の充実
  • 給与システムなどとの連携
  • 導入コストと運用コスト

中でも最も重要なのは、自社の勤務体系に則った記録と集計が可能かということです。
雇用形態によって締め日や所定の労働時間が異なったり、1日に複数回の出退勤があったりなど、複雑な就業ルールがある場合は注意が必要です。

また打刻方法についても、パソコンを使わない業種の場合はICカードをかざして出退勤を記録するタイムレコーダーを採用したり、社外で労働をする従業員や近年増加するテレワークなどの多様な働き方に対応するためにはパソコン、スマートフォンなどのモバイルデバイスを選択できたりする機能が必要となります。
従業員が効率よく働くことができる、使いやすい打刻方法を採用しましょう。

 

勤怠管理は重要?勤怠管理を行うメリット・デメリット

勤怠管理を行うメリット

勤怠管理は正確な給与計算のため、従業員が就業規則を守るため、法令遵守のために重要です。
従業員にとって正確な労働時間を把握してもらうことは、適正な給与や手当が支給されるための証明となるため、労働意欲の向上にもつながります。
また勤怠管理によって長時間労働が常態化した従業員を把握することで、業務負荷を分散させるなどの適切な措置により過労による健康トラブルなどを未然に防ぐことにもつながります。

勤怠管理の情報からは、従業員の業務量が適正か、人員の配置が適正かなどといった問題点が見つけやすく、改善策を図ることで業務の効率化につながります。
さらに過剰な人員が分かれば、配置転換などによる業務の効率化により人件費の削減にもつながります。
また勤怠管理の集計データは、プロジェクトごとの生産コストや人件費などを算出するためにも活用でき、経営に役立つ情報としてもとても重要なものとなります。

勤怠管理を行わないことで起こるデメリット

勤怠管理を怠り、必要な対策を講じることなく従業員が長時間労働による健康トラブルに陥ったり、業務中の事故、過労死につながったりすることは企業にとって大問題です。
また特に多いのが残業代未払いによるトラブルです。
訴訟問題となった場合、労働者保護の観点から、企業側が敗訴になる判例が多く、多額の残業代の支払いだけでなく、企業イメージの失墜が避けられません。

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勤務形態や雇用形態による勤怠管理方法の違いを知ろう

フレックスタイム・裁量労働制の勤怠管理方法は?

働き方が多様化し、同じ会社・同じ部署に、契約社員や派遣社員、時短勤務やフレックスタイム制など、多様な雇用形態・勤務形態で就業する従業員が混在しているケースが珍しくありません。
従業員によって雇用形態や勤務形態が違う中、それぞれに応じた勤怠管理方法はどのように行なえばよいのでしょうか。

フレックスタイム制は、1ヶ月を上限とする一定期間を清算期間といい、この期間の総労働時間を労使協定で定めれば、始業・終業時刻を自由にできる働き方です。
清算期間内の総労働時間が上限を超えると残業時間として認められます。
日によって就業時間が異なり、清算期間ごとの集計となるため、他の雇用形態の従業員と一律に勤怠管理ができないという難点があります。
またあらかじめ定めた総労働時間に対して過不足がないか、管理者も従業員もそれぞれが注意しなくてはなりません。

裁量労働制は、従業員の裁量によって労働時間が決まるという制度で、厚生労働省が定めた特定の業務にのみ適用されます。
そのため労働時間や勤務時間帯の縛りがなく、実働時間に関係なく「みなし時間」といってあらかじめ「1ヶ月○時間働いた」という契約になっています。
とはいえ、裁量労働制において勤怠管理が必要ないというわけではありません。
例えば、労働基準法で22時~5時、または法定休日において労働させた場合は割増賃金を加算しなければならないと定められています。
そのため深夜作業や休日労働の管理把握が必要となります。

このようなフレックスタイム制や裁量労働制といった複雑な勤務状況を、タイムカードやExcel入力で管理するのは手間がかかります。
多様なケースに適宜対応できる勤怠管理システムの利用が効率的です。

在宅勤務・テレワークの勤怠管理方法は?

近年増加する在宅勤務や労働場所を選ばないテレワークでも、労働基準法は適用されます。
また労働時間の管理には、フレックスタイム制の採用も可能であり、在宅勤務の場合では「事業外みなし労働」も可能です。
当然在宅勤務やテレワークの場合でも、企業は従業員の労働時間を管理する勤怠管理の義務があります。
始業時刻・終業時刻をメールや電話で報告する方法もありますが、パソコンやスマートフォンなどのモバイル端末から勤怠管理システムを使用できることが理想です。

さらには、管理者の目の届かない場所での自己申告となるため、スマートフォンのGPS機能を利用して打刻した場所が分かる機能があるなど、不正がしづらい勤怠管理システムを利用するとよいでしょう。

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派遣社員の勤怠管理責任について

派遣社員の勤怠管理方法は原則として派遣先の会社に準じます。

一方で、派遣社員は派遣元と雇用契約を結んでいることから、勤怠情報を管理し賃金の支払いを行うのは派遣元となりますが、日々の管理を派遣元は行えないことから、派遣先が勤怠管理を正確に行う必要があります。
派遣社員の勤怠情報の管理は、派遣元と派遣先の会社がそれぞれ責任を持って行うこととなります。

 

口頭確認だけじゃダメ?勤怠管理を怠った場合の罰則

労働時間」「残業」「休日」「有給」の法律について

勤怠管理において知っておかなければならない法律が「労働基準法」です。
13章からなる労働基準法の第4章「労働時間、休息、休日及び年次有給休暇」についての項目は特に重要です。

労働基準法では労働時間は、「1週間の労働時間は40時間まで、1日の労働時間は8時間まで(労働基準法32条)」と定められおり、これを「法定労働時間」と呼びます。
これらを無視した労働時間は法律違反となってしまいます。

残業時間については、法定労働時間を超える労働時間がカウントされ、法律で定められた割合以上の割増賃金を支払わなければならないと定められています。
また、夜22時から朝5時までの時間帯の労働についても法律で定められた割合以上の割増賃金を支払わなければならないとされています。
さらに残業時間については、「時間外労働の限度に関する基準」が定められており、週15時間、1ヶ月に45時間、1年360時間が上限とされています。
しかしこの法定労働時間を超えた残業時間が認められるのは、従業員と企業との間に「36協定」が締結されていることが前提となります。36協定がない状態での法定労働時間以上の労働は違法となります。

休日については、「1週間に最低1日の休日を付与するか、4週間を通じて4日以上の休日を付与すること」とされています(同法35条)。
また法定休日に労働をさせる場合は、法律で定められた割合以上の割増賃金を支払わなければならないとされています。

働き方改革関連法案が2018年に成立し、2019年4月から全ての企業で、年間10日以上の有給休暇の権利を持つ従業員に対して、年間の有給休暇消化日数が5日未満の場合は、企業側が取得日を指定することが義務付けられました。
この義務に違反した場合は30万円以下の罰金が課せられる場合があります。

詳しくは11月6日更新のコラムで説明いたします。

勤怠管理は3年間保存が義務

労働基準法第109条で、「使用者は労働者名簿、賃金台帳及び雇入、回顧、災害補償、賃金その他労務関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない」とされています。
勤怠管理を行うにあたって該当するものは、「従業員の労働日や所定労働時間数、時間外労働や休日労働など」の勤務実態を正確に把握できる内容となります。

タイムカードで従業員の勤怠管理をしている場合はタイムカードを、Excelやシステムなどのデータで管理している場合はデータの保存義務が、記録完結日から3年間となります。
なお、この保管義務に違反した場合は、30万円以下の罰金が課せられる場合があります。

勤怠管理を怠った場合や不正を行った場合に受ける罰

勤怠管理で罰則を受けるケースで、特に多く見受けられる「残業代未払い」は、労働基準監督署による定期監督によって行われる調査での発覚や、従業員や退職した人からの請求や訴訟になるケースがあります。

例えば、法定労働時間を超過した場合の割増賃金を従業員に支払わなかった場合は、法律違反として6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処されます(労働基準法119条)。
さらに同114条第37条によると、「未払金の他これと同一額の付加金の支払を命ずることができる」とあり、未払いの残業代の倍額を従業員に支払わなければならない可能性があります。

また残業代を支払わないためや、勤怠管理のミスを隠すためなどのために従業員の勤怠データを改ざんした場合には、30万円以下の罰金に処されます(同第120条第4項)。

これらの違反は、罰則による金銭的なダメージ以上に企業の社会的信用を失います。

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打刻ミスや改ざん。勤怠管理システム導入後のトラブル対処法

うっかり打刻ミス。勤怠管理システム担当者の悩み

勤怠管理システム担当者の悩みで最も多いのが、従業員の「打刻忘れ」です。
毎日行わなければいけないことですが、軽視されてしまう側面があるようです。

打刻忘れの主な原因は、打刻方法が面倒であること、会社に行かないと打刻ができないことなどが挙げられます。
始業・終業時刻の打刻情報は、法律で定められている重要な記録である以上、従業員にとっても給与に関係する重要なものです。
打刻忘れが目立つようであれば、その重要性について周知させるなど従業員の意識付けに注力する必要があります。
さらに従業員にとって使い勝手のよい打刻方法を採用するなどの改善策も必要です。

勤怠管理システムでは、このような打刻忘れを未然に防ぐための「アラート機能」もあり、モバイル端末で操作し、社外で打刻できるものもあります。

不正打刻や改ざんは違法?問題のある社員への対処法

  • 打刻忘れをした従業員が、手書きによる勤怠報告で、実際の労働時間より多く働いたように改ざんした
  • 従業員が出勤していない別の従業員の打刻を成りすましで行っていた
  • 出勤していないにもかかわらずスマートフォンで外部から打刻を行っていた

不正打刻や改ざんなど、以下のような事態が発覚した際に、企業側は従業員へどのように対応したらよいのでしょうか。

明らかに不正打刻や改ざんが、残業代や給与を実際より多く支払わせる目的だった場合には、法律上詐欺罪に該当し、訴訟となった場合も判例上「解雇が妥当」だとされています。
しかし注意が必要なのが企業側の労務管理に問題があった場合です。
会社の勤怠管理がきちんとされていない状況では、「解雇は不当」と判断される可能性があります。

こうした従業員の不正や改ざんを未然に防ぐには、次のような不正や改ざんができない勤怠管理システムを採用しましょう。

  • 手書きや打刻忘れによる事後報告の出退勤の記録を防ぐことができる
  • 高精度で打刻時に本人確認ができる
  • 社外からの打刻の際にGPS機能で場所の位置情報が取れる

指紋認証や静脈認証といった生体認証は、必要な打刻方法は成りすましによる打刻防止につながり、位置情報が確認できる打刻方法では、社外で働く従業員や出勤していない従業員が不正を行いづらくなります。
さらに管理者による直接の確認ができない分散オフィスや社外労働者の対応は、パソコンのログイン・アウトの記録と付き合わせるなどの対策も有効です。

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早出や残業時間にも法律がある?時間外労働を減らすための対処法

業務の都合で所定の始業時刻より早く業務を開始した場合、終業時刻を本来の終業時刻よりその分繰り上げて勤務を終えていれば時間外労働は発生しません。
しかしそれを超えて勤務をした場合は、いわゆる「早出残業」となり法内外のいずれかの残業に当てはまります。法定労働時間を超えていると割増賃金の支払い対象となります。

また過重労働などの労務リスク対策には、正確な勤怠管理が不可欠です。
各従業員の勤怠時間を会社が正確に把握していなければ、従業員の業務量が適正かを判断できず、適切な改善策を講じることができないためです。
勤怠情報が締め日まで集計、確認できないような勤怠管理方法では、問題の発覚や対応が遅くなってしまいます。
リアルタイムで従業員の勤務状況が確認できる勤怠管理システムを利用すれば、どの部署の誰がどの程度の残業が発生しているか、数字で可視化することができ、問題の発見から、改善策の検討も早急に行うことができます。

 

扶養控除や残業・代休の正しい知識は?勤怠管理における法律の復習

休憩や残業、社内制度は法律に則っている?就業規則と労働基準法

残業や休日出勤の割増賃金に関して、また扶養控除内での勤務について、法律ではどのように定められているのでしょうか。
法律を正しく理解して、業務の効率化を図りましょう。

従業員が10人以上の会社では、労働基準法に則り、就業規則を作成し労働基準監督署に届け出をする必要があります。
またこの就業規則を全従業員に周知させる義務もあります。
この就業規則に必要な記載は、始業・終業時間や休憩、休日や休暇についての労働時間に関することと、賃金、退職に関する事項です。

パート・アルバイトの扶養内勤務とは?収入の壁で勤務を調整

パートやアルバイト従業員の中には、扶養内勤務を希望される方もいます。
所得税や住民税の税制上の控除や、健康保険や年金の社会保険上の控除を受けるためには、年収が控除の対象となる上限金額を超えてはいけません。

税制上控除と社会保険上の控除を受けられる配偶者控除の場合は上限が150万円、社会保険上の控除を受けられる配偶者特別控除の場合には上限が201万円となっています。
そのため控除を受ける扶養内勤務を希望する方は、労働時間を調整する必要があります。
主にこの調整は年末にかけて行われることが多く、扶養内勤務の従業員が調整のため抜けてしまい人手不足になってしまうケースや、人手不足を補うため他の従業員とシフト調整が必要となるケースがあります。

勤怠管理を正確に行い、前もって予定立てたシフトを設定しておくことができれば、繁忙期でも他の従業員の負担も軽減できます。

休日出勤と通常出勤の賃金は同じ?出勤日と時間帯による賃金の違い

休日には企業が任意に定めることができる「所定休日」と、労働基準法で定められた1週間に最低1日休日を与えなければならないという「法定休日」があります。
土曜日と日曜日で週休2日としている企業の多くが、土曜を所定休日、日曜を法定休日としています。
法律上は法定休日に出勤することが「休日出勤(休日労働)」となります。
所定休日に勤務した場合は、休日出勤の扱いにはならず、通常出勤と同じ扱いです。
しかしこの勤務によって労働基準法で定められた「1週間の法定労働時間40時間」を超えた場合には時間外労働が適用されます。

法律で割増賃金の支払いが必要なのは、時間外労働と、法定休日の休日労働の場合です。
時間外労働の場合は、平常賃金の1.25倍、休日労働は、1.35倍の支払い義務があります。

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勤怠管理を効率よく行うポイント

勤怠管理は職場の環境作りが大切。社員全員が協力できる体制作り

勤怠管理で最も重要なことは社員全員による正しい出勤・退勤の打刻です。
そのため勤怠管理システムは誰もが簡単に操作できるものでなくてはいけません。

勤怠管理を正確に行うためには、素晴らしいシステムを導入しても、利用する従業員の意識が低いと打刻忘れやミスなどで管理を徹底できません。
打刻を習慣化すること、不正ができない環境づくりには社員全員の協力が必須です。
そのためには、勤怠管理の重要性や、正しく出勤・退勤の打刻を行わなかった場合のペナルティーを社員に理解してもらう必要があります。

勤怠管理によってもたらされる社員へのメリット、適切な給与の支払いや健康維持のためであること、業務の効率化のためであることなどを周知しましょう。
また打刻忘れや不正打刻を、懲戒解雇に相当とすることや人事考課の対象とすることも効果的です。

勤怠管理システムは労働者が簡単に操作できるものを選ぶ

多様な働き方が推奨される中で雇用形態が増え、「働き方改革」による新しい法令の整備・施行が急ピッチで進んでいます。
そのため企業における勤怠管理はますます複雑化しており、より高度にシステム化された勤怠管理の仕組みが必要になりました。

内勤の従業員だけでなく、社外で労働をする人、在宅やテレワークで労働をする人にとっても使いやすい、簡単に操作できるシステムを利用することは、勤怠管理において懸念材料である打刻忘れやミスの防止のために有効です。

また、勤怠管理システムは、社内システムとの連携や、既存の設備を流用できるなどの会社側の使いやすさも考慮し、自社に合った勤怠管理システムを選定しましょう。

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