勤怠管理システムを活用し、タイムカードや労働時間の改ざんを防止する方法
会社には社員の労働時間を適正に把握する責務があります。そのため多くの企業ではタイムカードや勤怠管理システムを導入して、社員の労働時間をできるだけ正確に把握しようと努めています。
一方でタイムカードを悪用した社員の遅刻、欠勤の不正や管理者による部下の残業時間の偽装など勤怠を巡る問題は少なくありません。
どうしてこのようなことが起きるのでしょうか?
今回は労働時間の適正な把握の仕方と、タイムカードや勤怠管理システムの不正が発生する理由について考え、その防止方法について解説します。
労働時間とは?会社の指揮命令下に置かれ業務に従事する時間
労働時間とは会社の指揮命令下に置かれている時間であり、会社の明示または黙示の指示により社員が業務に従事する時間のことです。
例えば、参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や会社の指示により業務に必要な学習などを行っていた時間は労働時間に該当します。
社員の労働時間を適正に把握することにより、残業代などの賃金を支払うための基礎資料としてだけでなく、過重労働による社員の心身の不調やメンタル疾患の予防、ひいては過労死・過労自殺を防ぐための手立てになります。
把握していないとどうなるの?社員の労働時間と安全に対する賃金の支払い義務
労働時間を適正に把握せずに賃金の未払いなどを生じさせると、労働基準法違反を問われます。
労働基準法第11条(抜粋)
賃金とは、会社が社員の労働に対して支払うべきものである労働基準法第24条(抜粋)
賃金は毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない
また会社には、労働者がケガをしたり、長時間労働で健康を害したりしないように配慮する安全配慮義務があります。
労働契約法第5条(抜粋)
会社は労働契約に伴い、社員がその生命、身体など安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする
このように労働時間を適正に把握することは、コンプライアンス上も非常に重要です。
しかし社員や管理者の中には、目先の利益のためにタイムカードの不正打刻を行なったり、自己保身のために部下の勤怠を勝手に改ざんしたりする者もいます。
労働時間を会社が適正に把握する意義を社員や管理者が正しく理解すれば、打刻の不正や勤怠の改ざんが起こるリスクが軽減されます。
更なるリスクの軽減と不正を防止するために、罰則の理解と対処方法について検討する必要があります。
勤務時間を改ざんして増やす?タイムカードの不正打刻と法的な罰則
タイムカード関連で多い改ざんは、タイムカードの出勤・退勤などの不正打刻です。
社員の改ざん防止については、服務規律(就業規則)を定め、懲戒規定の整備を行い、社員への教育を徹底することが基本となります。
労働時間を偽装して賃金を不正に詐取する行為は、詐欺行為となります。
刑法第246条1項(抜粋)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する
防止策として、刑事責任を問われる場合もあることを社員に刷り込むことも効果的です。
また、ICカード対応のタイムレコーダーや勤怠クラウドサービスを導入することも効果的な方法になります。
打刻時間がそのままコンピューターに転送され、個人別に記録・ロックされるので改ざんをする余地が軽減されます。
残業時間を不正に減らす?管理者の勤怠改ざんと法的な罰則
管理者が部下の残業時間を減らすために勤怠の偽装を行う場合もあります。労働時間を勝手に改ざんする行為は罰則に問える可能性があるので絶対に行ってはなりません。
対応策として、管理者が勝手に打刻時間を修正できないように勤怠クラウドサービスなどシステム上でロックをかけることで防止できます。
とはいえ、管理職が意図的に部下に圧力をかけ、残業時間を過少申告させたり、部下が会社や上司の方針を察して自ら過少申告したりしている場合は対応が難しくなります。
タイムカードを押してから、深夜まで居残り残業を行う社員は今でも多いのではないでしょうか。
在社時間を実際よりも少なく見せることで、残業時間を過少申告する行為をサービス残業といいますが、サービス残業は管理者、社員だけではなく、会社自体にも罰則の対象になるリスクがあるため行ってはなりません。
残業時間の賃金は?割増賃金の支払い義務と改ざん時の罰則
残業時間については、割増賃金の支払いが義務づけられており、この義務を怠っている場合は労働基準監督署から是正勧告を受けます。
労働基準法第37条1項(抜粋)
会社は社員に対し、労働時間を延長、または休日に労働させた場合において、それぞれ政令で定める割増賃金を支払わなければならない
さらに管理者が社員の残業時間を減らするため、タイムカードを改ざんや、打刻の偽装をさせていたことが、労働基準監督署などの調査で発覚した場合、事案が悪質であるとして会社や管理者が書類送検されることも十分ありえます。
労働基準法第119条1項(抜粋)
時間外、休日または深夜の割増賃金規定に違反した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処する労働基準法第120条4項(抜粋)
虚偽の陳述、または記載した帳簿書類を提出した場合、30万円以下の罰金に処する
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サービス残業や改ざんをさせないためには、社員と管理者の教育を徹底することが第一です。
管理者以外にも、経営者や人事担当者などが職場を巡回し、居残り者のチェックや勤怠管理システムの退社時刻と照らし合わせるなどして偽装がないか確認することもポイントです。
勤怠管理クラウドサービス「CLOUZA」は、リアルタイムで勤怠状況の確認が行えます。
外出先や派遣先からでも社員の勤怠状況が確認できるため、適正な管理を行い、改ざんリスクを軽減させましょう!