CLOUZA COLUMN

勤怠管理コラム

正社員と言えば、労働契約期間の定めのないフルタイム労働者のことをイメージしますが、最近は同じ正社員であっても、労働時間が短い者、勤務地が限定されている者、職種(仕事内容)が限定されている者など、さまざまなタイプの労働者が増えてきました。

このように多様化した正社員のことを、従来のフルタイム正社員と対比させて限定正社員と呼ぶことがあります。
限定正社員とは、正社員と同様に無期契約期間での雇用が確保されている一方で、それぞれのニーズに合わせて働き方を選択することができる社員のことです。

今回は限定正社員の活用が双方のメリットとなれるよう、その1つである「短時間正社員制度」のメリットと導入のポイントについて解説します。

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短時間正社員とは?無期労働契約で所定労働時間が短い正社員

短時間正社員とは、フルタイム正社員と比較して1週間の所定労働時間が短い正社員のことをいいます。

短時間正社員は無期契約である点が、有期契約のパートタイマー(短時間労働者)と大きく異なります。また本制度は、育児介護休業法において一定の要件を満たした労働者だけが請求できる短時間勤務措置とも異なります。短時間勤務措置は、正社員が一時的に短時間勤務を請求できるだけで、法定の要件からはずれた時点でフルタイム勤務に戻らなければなりません。自分の意思で短時間勤務を続けることはできないのです。

短時間正社員制度は、労働時間に制約がある介護や子育て中の社員だけでなく、多くの方にメリットがある制度です。たとえば、ワークライフバランス志向が強く、自分の趣味の時間を多く持ちたいと考える社員、将来のキャリアを考えて大学や大学院などで学びたいと考えている社員、本業を持ちながらNPOなどで社会貢献活動に従事し、副業や兼業などで自分の可能性を試したいと考える社員にとっては、非常に働きやすい制度です。

最近、この短時間正社員制度を導入する企業が増えてきているようです。その契機となったのが、平成25年4月の労働契約法の改正(有期から無期契約への転換請求権の創設、労働契約法18条)です。この改正によって、有期の労働契約期間が通算5年を超えた場合に、無期労働契約に転換請求できる権利が認められました。そして平成30年4月には、この無期転換請求権を行使して、有期契約労働者から無期契約労働者に変わる最初の労働者が生まれます。

この無期転換請求権はフルタイム社員だけでなく、パートタイマーにも認められています。黙っていても来年4月からは、無期雇用のパートタイマー、つまり短時間正社員が生まれるのです。短時間正社員制度が注目される背景には働き方改革だけでなく、労働契約法の改正も影響していることがわかります。

 

短時間正社員制度の導入と留意点

短時間正社員は、定年までの雇用が前提となる社員なので、有期契約のパートタイマーと全く同じ位置づけでは労務管理上好ましくありません。それ相応の役割と責任を付与し、将来に向けたキャリアアップが可能となるような制度構築が望まれます。たとえば、所定労働時間数に応じて、一定の役職に昇進できる昇進昇格ルート(キャリアパス)の整備や、フルタイム正社員と同様の賞与・退職金制度の適用、社内研修などの能力開発機会の提供などが考えられます。

また短時間正社員からフルタイム正社員への転換制度を設けることも、短時間正社員のモチベーションを高める上では効果的です。過去の成績評価が一定レベル以上の短時間正社員の中から、フルタイム正社員への登用を強く希望し、業務上必要な場合に残業が可能、上司の推薦があるなどの条件をクリアーした社員を選んで、将来の幹部候補生としてフルタイム正社員へ転換させるのです。

もちろん、短時間正社員とフルタイム正社員の間の垣根を低くし、希望すればいずれの側からも自由に転換ができるという制度にすることも可能です。むしろ働き方改革が目指す柔軟な働き方の実現という点からは、その時その時の状況に応じて、社員が自由に転換できる制度とすることが望ましいでしょう。

なお、短時間正社員であることを理由として、フルタイム正社員と異なった処遇(賃金など)とすることは許されません。同じ仕事をしているのであれば、処遇もそれに見合った同等なものとする必要があるのです。現状のパートタイム労働法(8条)でも、短時間労働者とフルタイム労働者との待遇格差について、「不合理と認められるものであってはならない」と定められています。さらに今後、同一労働同一賃金原則が導入されると、フルタイム労働者との処遇格差は、短時間労働者に対する差別的取扱と判断され違法となります。

 

短時間正社員制度の今後の課題

短時間正社員にもそれ相応の役割と責任を付与し、将来に向けたキャリアアップが可能になるような制度を適用することが望ましいですが、無期転換制度によって短時間正社員になった社員の中には、雇用の安定が目的で、バリバリと仕事をするよりも、むしろライフ優先で働きたいという社員もいます。そのような社員にまで、本人の価値観とは異なるキャリアアップの道を一方的に押しつけることは好ましくないでしょう。

そこで短時間正社員制度を仕事優先コースとライフ優先コースの2つに区分し、社員の価値観と意欲に応じて仕事内容や役割・責任、処遇を変えるということも検討しなければなりません。いずれにせよ短時間正社員制度は新しい制度なので、企業ごとに試行錯誤しながら自社に合った制度構築を進めていく必要があります。