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法定休日に対する振替休日・代休についての疑問にお答えします。

法定休日に対する振替休日・代休についての疑問にお答えします。

従業員が法定休日に出勤した場合、会社は別の休日を与えることがあります。
これを一般に「振替休日」もしくは「代休」と呼びますが、「振替休日」と「代休」は労務管理上別の取り扱いをしなければなりません。
また「代休」を巡っては、必ず与えなければならないのか、会社が一方的に日程を決めていいのかなど、様々な疑問があります。
そこで今回は、法定休日に対する「振替休日・代休」についてよくあるご質問にお答えします。

「振替休日」と「代休」の違いとは?

法律上、少なくとも1週1日あるいは4週4日の休日を従業員に与えなければなりません。
これを法定休日と呼びます。

しかし業務の都合上、1週1日あるいは4週4日の休日を与えられず、法定休日に出勤してもらわなければならないこともあります。
その場合、「振替休日・代休」を与えることが考えられます。

「振替休日」とは、予め休日と他の特定の労働日とを振替措置を取ることです。
「代休」とは、事前の振替措置を取らず、実際に休日労働をした後で休日労働の代償として、他の労働日を休日とすることです。

振替休日の場合、前もって休日を振り替えているため、もともとの休日に労働させた日については休日労働とはならず、休日労働に対する割増賃金の支払義務は発生しません。

一方で代休の場合は、休日労働が先行しているため、休日労働に対する割増賃金の支払義務が発生します。

なお代休は休日労働が発生するため、時間外・休日労働に関する協定届(36協定)を締結していない場合は、代休を使うことができません。

また18歳未満の労働者については休日労働が原則として禁止されています。
36協定がない場合や労働者が18歳未満の場合は、代休ではなく振替休日の措置を取る必要があります。

>>厚生労働省 振替休日と代休の違いは何か。

【関連ページ】
法定休日と所定休日、振替と代休の違い。知っておきたい割増賃金の仕組み。

勤怠管理における休日、代休、振替休日の考え方と勤怠管理システム上での休日管理とは?

 

振替休日が有効と認められる条件

振替休日を適法に実施するためには、以下の条件を満たすことが必要です。

就業規則で振替休日制度を定めること

単に「休日を他の日に振り替えることがある。」という一般的な規定だけでなく、振替事由や手続きについても定めておくのが望ましいです。

前日以前に振替を予告すること

休日の振替を行う旨を、前日以前に労働者に予告しなければなりません。
休日を繰り下げる場合、例えば今週の火曜日に出勤させ、今週の金曜日を休日とするならば、今週の月曜日までに予告が必要です。
一方で休日を繰り上げる場合、例えば今週の金曜日に出勤させ、今週の火曜日を休日とするならば、休日となる日が先に来るため、その前日である今週の月曜日までに予告が必要です。

休日出勤する日と振替休日にする日を具体的に指定すること

日曜日に出勤させ翌週の火曜日を休日とする、のように具体的に指定しなければなりませんので、「また今度代わりの休みを与える。」という形で予告することはできません。

1週1日もしくは4週4日の休日が確保されていること

振替休日を実施する際は、1週1日もしくは4週4日の休日が確保されるようにしなければなりません。

>>厚生労働省 労働条件について(休日)

 

代休は取らせなければいけないのか

振替休日の予告をしなかった場合、休日労働が行われます。
その結果、1週1日の休日あるいは、4週4日の休日が確保されなかった場合、代休を取らせなければならないのでしょうか。

これについては、休日労働に対して割増賃金が支払われていれば、その休日は消滅します。
休日が確保できなかったとしても代休を与える法的な義務はありません。
ただし代休制度を就業規則や労働契約で定めている場合は、その規定に従わなければなりません。

また長時間労働は労働者の心身に悪影響を与えることから、休日労働や時間外労働も含めて勤怠管理を徹底する必要があります。
客観的に見て労働時間が長くなりすぎている場合や従業員の体調不良がある場合は、代休を与えるべきでしょう。

 

代休の指定、期限について

代休を与える際は、会社がその日付を指定できます。
法律上いつまでに与えなければならないという決まりはありませんが、従業員からすると、本来休みであった日に勤務しなければならないため、希望を確認し、加味した上で代休の日付を決定する事が望ましいでしょう。

「振替休日」と「代休」では意味が異なり、法律上のルールや会社のルールなど様々な規定が存在します。

「振替休日」や「代休」について正しく理解し、従業員に納得してもらった上で運用していくことが大切です。