勤怠管理は労務管理の一部。勤怠管理と労務管理の違いと定義
最近では多くの業界で、人手不足であると言われるようになりました。
企業にとっては、自社の魅力を高めて従業員が集まりやすい環境を作る必要性が、今まで以上に高まっています。
そして、最近の若手従業員は、仕事と私生活の調和を図ることができるかどうか、いわゆるライフワークバランスを求める傾向にあります。
また、給与計算作業は、経営者、または、人事もしくは経理の部署が、毎月抱えるルーティンワークであり、その中でも勤怠集計は、手間がかかって煩雑な業務になりがちです。
そうすると、勤怠管理を徹底し、適正な労働環境を確保すること、「労務管理」がより大切になってきています。
今回は「勤怠管理」と「労務管理」、この2つについて詳しく考えたいと思います。
勤怠管理と労務管理の違い
「勤怠管理」と「労務管理」は似たような意味で使われることもありますが、実際はどのように違うのでしょうか。
これについては、「労務管理」の方が大きな意味で、その中の一部として「勤怠管理」が存在する、というように考えられます。
勤怠管理は、従業員の労働時間や休日など「どのように働いたか」を管理するものです。
それに対して、労務管理は、勤怠管理も含めて、従業員の入社から退社までの様々な事柄について、広い範囲での管理を指します。
例えば、教育訓練や人事考課なども労務管理に含まれますね。
企業の魅力を高めるためには、働き方についての管理だけでなく、教育訓練など幅広い分野について、より良いものにしていく必要がありそうです。
したがって、勤怠管理だけでなく労務管理についても詳しく見ていきたいと思います。
勤怠管理とは?
ではまず、勤怠管理について考えたいと思います。
勤怠管理とは一般的に、各従業員の出勤時間、退勤時間、休憩時間、出社日数等を把握して、就業規則や労働基準法等のルールを順守できているかを確認するものです。
勤怠管理の方法として、使用者あるいは労働時間管理を行う者が、直接、各従業員の始業時刻や終業時刻を確認する方法があります。
ただし、これは手間がかかるため、ある程度従業員数のいる企業では現実的ではありませんね。
そこで、タイムレコーダーやタイムカードを使われている方も多いと思います。
また、勤務状況の把握、集計や給与計算業務の手間を省くため、勤怠管理クラウドサービスを利用される方も年々増えています。
勤怠管理クラウドサービスCLOUZAについては、CLOUZAの特長をご確認ください。
労務管理とは?
次に、労務管理について考えたいと思います。
労務管理とは、労働者の募集・採用に始まり、配置、異動、教育訓練、人事考課、昇進、昇給、賃金や労働時間の管理等、退職に至るまでの一連の流れを適正に管理することを指します。
企業の魅力という観点で言えば、例えば教育訓練は非常に重要になってきますね。多くの従業員は、自分の能力を発揮・向上させることを重視視しているからです。どんな訓練を、どのくらいの頻度で、誰に受けさせるのか。大局的な教育訓練計画が必要となりそうです。
また、人事考課も重要となってきそうです。
「自分は正当に評価されていないのではないか?」という不満は、良く見られます。
これについては、評価基準を明確にする、適正に評価できるよう評価者を訓練するなどの方法があります。
さらに、職場の雰囲気作りもとても大切です。
職場の人間関係が良いかどうか、新しく入社する従業員がとても気にすることだからです。
グループワーク主体のセミナーを受けてもらう、社内イベントを企画するなど、様々な工夫が考えられそうです。
なお、最近労務管理に加わったものとして、マイナンバーの管理があります。
マイナンバーとは国民一人一人に付けられた12桁のナンバーのことです。
企業は従業員の雇用期間中、社会保障関連の書類等に、従業員のマイナンバーを使用するため、これを厳格に保管しなければなりません。
最後に、労務管理はアウトソーシングするという方法もあります。
従業員の入退社管理、給与計算などを外注することで、自社のコア業務に専念することができると考えられます。
労働基準監督署調査へ慌てないための対策
最後に、勤怠管理や労務管理と関連する、労働基準監督署の調査についてお話します。
労働基準監督署の調査とは、労働基準監督官が事業場に立ち入り、もしくは労基署への呼び出しにより、労働基準法等の労働関係法令に企業が違反していないかどうかについて、従業員の労働条件等の確認を行うことをいいます。
労働基準監督署調査は、おもに「定期監査」と「申告監督」があります。
定期監督とは定期的・計画的に実施される労働基準監督署主導の調査で、申告監査とは、従業員からの申告(告訴や告発など)に基づいて実施される調査のことです。
定期監督等で何らかの法違反があったものは、92,034件で違反率は69.1%とかなり高くなっています。
これらの違反事業場における法違反の内容を法条項別の違反率でみると、労働時間に関する違反率が30.0%で最も高く、次いで安全基準27.7%、健康診断21.9%、割増賃金21.1%、労働条件の明示16.9%、就業規則11.6%の順となっています。
労働基準監督署の調査で必要となる労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、タイムカード、就業規則などは、日頃から経営をしていく上で積み重ねられてきた資料となります。
「調査になって慌てて取り繕っても遅い!」というのは言うまでもありません。
企業の経営に配慮しつつ、日常の勤怠管理や雇用管理に問題がないか、基本的な事項がきちんと守られているか確認をした上で、不備がある場合には、改善、見直しを今のうちにされておかれることをおすすめします。