CLOUZA COLUMN

勤怠管理コラム

 

標準報酬月額とは、従業員各人の給与額を一定の等級に振り分けたもので、社会保険料の算出などに使います。
標準報酬月額がどの等級に区分されるかで、社会保険料などが変わってきますので正確に区分する必要があります。

しかし標準報酬月額の決め方は、資格取得時の決定、定時決定、随時改定など様々な種類があり、少々複雑で理解しにくい部分があります。
そこで今回は標準報酬月額の決め方についてわかりやすくお伝えします。

標準報酬月額とは

健康保険、厚生年金保険などの加入者は、給与から社会保険料が控除されます。
この社会保険料を決定するのが標準報酬月額です。

標準報酬月額は、「標準報酬月額表」(保険料額表)を用いて、給与の額を、一定の幅で区分した報酬月額に当てはめたものです。
毎月の保険料は、「標準報酬月額×保険料率」で決められます。
この報酬月額の算定には、基本給・通勤手当・時間外手当・役職手当など、被保険者が自己の労働の対償として会社(事業所)から受けるものなどが計算に含まれます。

一方、報酬月額の算定に含まれないものとして、3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賞与、退職金、結婚祝金、出張旅費などがあります。

現在の標準報酬月額は、健康保険では1等級の58,000円から50等級の1,390,000円まで、厚生年金保険は1等級の88,000円から31等級の620,000円までに分かれています。

>>日本年金機構 Q. 標準報酬月額は、いつどのように決まるのですか
>>協会けんぽ 標準報酬月額の決め方

 

標準報酬月額の決定・改定の方法

標準報酬月額の決定や改定はどのように行うのでしょうか。

まずは、被保険者が資格取得したときの報酬額によって、報酬月額を決めます。
直近の8月(6月1日以降に資格取得したときは、翌年8月)までは、取得時の報酬月額で標準報酬月額(社会保険料)が決まります。
それ以降は毎年、4月・5月・6月の報酬額の平均によって、報酬月額を算出し、9月~翌年8月までの標準報酬月額(社会保険料)が決まります。

これが通常のサイクルですが、標準報酬月額が原則2等級以上変動するほどの昇給や降給があった場合は、1年の途中で改定を行います。

標準報酬月額の決定や改定は、主に以下のような場合に行います。

1.資格取得時の決定
被保険者が資格取得した際の報酬に基づいて一定方法によって報酬月額を決定し、資格取得月からその年の8月(6月1日から12月31日までに資格取得した人は、翌年の8月)までの各月の標準報酬とします。
2.定時決定
毎年7月1日現在で使用される事業所において、同日前3ヶ月(4月・5月・6月、いずれも支払基礎日数17日(特定適用事業所※に勤務する短時間労働者は11日)以上)に受けた報酬の総額を、その期間の総月数で除して得た額を報酬月額として標準報酬を決定し、9月から翌年8月までの各月の標準報酬とします。
※特定適用事業所…従業員数501人以上
3.随時改定
被保険者の報酬が昇給・降給などで固定的賃金に変動があり、継続した3ヶ月間(いずれも基礎日数17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上)に受けた報酬総額を3で除して得た額が、従前の標準報酬の基礎となった報酬月額に比べて「著しく高低を生じた場合」(原則2等級以上の変動)において、改定します。

あくまで固定的賃金の変動などが条件で、残業が多くて報酬が増加したような場合は、これに該当しません。

4.育児休業等終了時の改定
被保険者からの届出によって、育児休業等終了日の翌日が属する月以後3ヶ月間に受けた報酬の平均額に基づき、その翌月から新しい標準報酬月額に改定する場合があります。

これは、育児休業などが終わって職場復帰した際に給与額が減った場合にも一定の要件を満たせば標準報酬月額を改定し、保険料の負担減を認めるものです。
また産前産後休業の終了時にも改定する場合があります。

>>日本年金機構 厚生年金保険の保険料

>>日本年金機構 産前産後休業終了時報酬月額変更届の提出

>>日本年金機構 育児休業等終了時報酬月額変更届の提出

 

標準報酬月額は保険料の決定以外にも使われる

標準報酬月額は保険料の決定以外にも、以下のように使われます。

1.「傷病手当金」、「出産手当金」の算定
業務外の事由による病気やけがで休業している期間について生活保障を行う制度である「傷病手当金」や出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合に支給される「出産手当金」の算定に使われます。
2.老齢厚生年金の算定
老齢厚生年金の受給額の算定には、「加入期間全ての標準報酬月額の平均」を算定した「平均標準報酬(月)額」が使われます。

 

休業中などの標準報酬月額はどうなる?

1.病気やけがで休職するとき
休職期間中、会社からの給与が支給されなくても、休職前と同額の標準報酬月額による社会保険料を徴収する必要があります。
会社負担及び本人負担共に社会保険料の負担額は休職前と同じです。
2.出産、育児で休業するとき
産前産後休業及び育児休業期間中、標準報酬月額は同じままですが、会社負担及び本人負担共に社会保険料は免除になります。
「健康保険(協会けんぽ)・厚生年金保険 産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届」の提出が必要です。
3.子どもが3歳までの間、勤務時間短縮などの措置を受けて働き、それに伴って標準報酬月額が低下したとき
被保険者の申出に基づき、より高い従前の標準報酬月額をその期間の標準報酬月額とみなして年金額を計算します。
養育期間中の報酬の低下が将来の年金額に影響しないようにするための措置です。
「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届」が必要です。
4.介護で休業するとき
介護休業期間中、会社からの給与が支給されなくても、休業前と同額の標準報酬月額による社会保険料を徴収する必要があります。
会社負担及び本人負担共に社会保険料の負担額は休業前と同じです。

>>日本年金機構 保険料の免除等(育児休業関係等)

 

まとめ

標準報酬月額について解説しましたが、全てにおいて手続きが必要です。

特に「随時改定」の手続きは細かなルールがあります。
昇給、降給による固定的賃金が変動したときは、「随時改定」に該当するかどうかを確認して、「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届」を提出します。

育児関連の保険料の免除や特例も手続きをすることで適用されますので、届出の漏れがないようにご注意下さい。