CLOUZA COLUMN

勤怠管理コラム

「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、経済産業省が2006年に発表した「社会人基礎力」。
3つの能力と12の能力要素を内容とした「社会人基礎力」の重要性は増しており、「人生100年時代」ならではの新たな3つの視点を取り入れた「人生100年時代の社会人基礎力」(以下、「新・社会人基礎力」)として10数年ぶりに見直されました。
これまでの「社会人基礎力」は、若年層を対象としていたのに対し、「新・社会人基礎力」は、就学前から中高年の社会人に至るまでの幅広い年齢層を対象としています。
人生80年から「人生100年時代」の到来で、人生を過ごす時間が20年増えたことにより、従来型の人生モデルが変化し、幅広い年齢層においてキャリアを再設計することが必要となってきました。
「新・社会人基礎力」は、若年層を対象とした一過性の取り組みではなく、ライフステージの各段階を通じて一貫したキャリア開発が必要とされるのです。

>>人生100年時代の社会人基礎力について(経済産業省)

 

「新・社会人基礎力」の定義

これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力と定義され、能力を発揮するにあたって、社会人基礎力の3つの能力と12の能力要素に加え、新たに3つの視点として目的、学び、組合せのバランスを図ることが、自らキャリアを切り開いていく上で必要とされています。

 

「社会人基礎力」の3つの能力と12の能力要素

1.前に踏み出す力
一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力
【主体性】物事に進んで取り組む力
【働きかけ力】他人に働きかけ巻き込む力
【実行力】目的を設定し確実に行動する力
言われたことだけやるのではなく、自ら進んで物事に取り組み、周りに協力をあおぎ、実際に行動するという姿勢は重要です。
2.考え抜く力
疑問を持ち、考え抜く力
【課題発見力】現状を分析し目的や課題を明らかにする力
【計画力】課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
【創造力】新しい価値を生み出す力
課題を発見し、それを改善するための計画を立て、新しい視点の価値を出すことが重要です。
3.チームで働く力
多様な人々とともに、目標に向けて協力する力
【発信力】自分の意見をわかりやすく伝える力
【傾聴力】相手の意見を丁寧に聴く力
【柔軟性】意見の違いや立場の違いを理解する力
【状況把握力】自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
【規律性】社会のルールや人との約束を守る力
【ストレスコントロール力】ストレスの発生源に対応する力
自分の意見をハッキリと述べ、また相手の意見も聞き、現状を把握しながら柔軟に働くことが重要です。

 

「新・社会人基礎力」新たな3つの視点

1.どう活躍するか
【目的】自己実現や社会貢献に向けて行動する
自己実現や社会貢献に向けて行動することであり、価値の創出に向けた行動を促すための力として、「前に踏み出す力」がより一層重要となります。
2.何を学ぶか
【学び】学び続けることを学ぶ
学び続けることを学ぶことであり、自らの強みを強化し弱みを補完して能力を発揮するための力として、「考え抜く力」がより一層重要となります。
3. どのように学ぶか
【組合せ(統合)】多様な体験・経験・能力・キャリアを組み合わせ、統合する
自らの視野を広げ、自己の多様な体験・経験や能力と多様な人々の得意なものを組み合わせて、目的の実現に向けて統合することであり、持ち寄って価値を創出するために「考え抜く力」や「チームで働く力」がより一層重要となります。

>>「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」報告書

 

「個人の成長」と「企業の成長」について

これからの時代、個人には主体的にキャリア開発が求められ、企業には個人のキャリア自律への支援・理解、柔軟な人事制度、人材活用方針、自社魅力の魅力化などが求められ、個人の成長と企業の成長のベクトルを合わせることで、はじめて生産性の向上が実現可能になります。

個人として取り組むべき方向性
「成長主体である個人」として、自らのキャリアプランに応じて、多様な「学びの場」や「活躍の場」を自ら選択し、ビジョンを持って、自分で考え、自分で動く人材となるよう、自らを高め続けることが重要です。
企業として取り組むべき方向性
「安定雇用」だけではなく、「学びの機会」や「共感できるビジョン」の提供など、自律的に行動し成長する人材と、人材の多様な在り方を活かす仕組みが必要です。

 

まとめ

キャリアは企業からただ与えられるものではなく、自ら作り上げるべきものだという認識が不可欠であり、今やすべての年代が意識すべきものとして捉えなおす必要があります。 年齢やライフステージの各段階において、今の自分にとって何が必要なのかを、外的な環境要因を踏まえながら、常に意識し続けることが重要とされます。 自分の強みや弱み等の特徴を知り、まずは強みとなる要素を活かし、弱い部分は日々向上できるよう、意識的に能力の向上に努めることによって、キャリアの可能性は大きく広がります。 企業としては、キャリア意識を醸成する機会を充実させていくことが、結果として企業競争力や人材力を強化することにつながります。