CLOUZA COLUMN

勤怠管理コラム

2019年4月より有給休暇の取得義務化が始まりました。

これにより

  • 2019年4月より前から付与されている有休についても義務の対象になるのか?
  • 有休義務化に対応するために就業規則を改定する必要があるのか?
  • 半日単位で取得させてもよいのか?

といったご相談を多く頂くようになりました。
そこで今回は、有給休暇義務化に対応する上でよくあるお悩みについてお答えします。

有給休暇の取得義務化について

年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられました。
年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者であれば、パート、有期契約、管理監督者など問わず、義務化の対象です。
対応する上で、実務上いくつか注意すべき点があります。

【関連ページ】
待ったなし!年次有給休暇の時季指定義務のポイントと対策

 

2019年4月より前から付与されている有休についても義務の対象になる?

例えば2019年1月に10日間の有給休暇が付与された労働者は、2019年4月以後に義務化の対象となるでしょうか。

2019年4月より前に付与された有給休暇は、義務化の対象とはなりません。
あくまで法改正が施行される2019年4月1日以後、最初に年10日以上の有給休暇を付与した場合に、義務化の対象となります。

先述のケースの場合、次回(2020年1月)に有給休暇を付与したときから義務化の対象となります。

 

義務化に対応して就業規則改定は必要?

「いつ有給休暇を取得するか」については、元々労働者側で決めるものでした。

しかし今回の法改正により、会社側で有給休暇の時季を指定することができるようになりました。
それに伴い、会社が時季指定をする場合には、就業規則に以下2点の記載が必要です。

    • 時季指定の対象となる労働者の範囲
    •  記載例「年次有給休暇が10日以上与えられた労働者に対して」

 

  • 時季指定の方法など
  •  記載例「年次有給休暇日数のうち5日について、会社が労働者の意見を聴取し、その意見を尊重した上で、あらかじめ時季を指定して取得させる」

>>厚生労働省 モデル就業規則

 

半日単位の有給休暇を時季指定して与えることは可能?

時季指定に当たって、労働者の意見を聴いた際に、半日単位での有給休暇を取得する希望があった場合、半日単位で時季指定し、これを取得させることができます。

また半日単位で取得させた場合、取得1回を0.5日分として、会社が時季を指定すべき年5日の有給休暇から控除することができます。

一方で、時間単位の取得については、会社の時季指定の対象とはならず、仮に労働者が時間単位の有給休暇を取得した際も、その時間分を5日から控除することはできません。

 

前年繰り越し分含め10日以上となったら、義務化の対象?

付与されたものの使用しなかった有給休暇は、発生から2年間で消滅しますが、翌年には繰り越されます。

例えばパート従業員につき、初年度に5日間有給休暇が付与され、1日も使用しないまま、次年度に6日間付与された場合、合計で11日の有給休暇が存在します。
このような場合、10日以上の有給休暇が存在しますが、義務化の対象とはなりません。

義務化の対象となるのは、当年度に付与される法定の有給休暇が10日以上である労働者であり、前年度から繰り越した日数は含みません。

 

どんな場合に違反となり、どんな罰則が科せられる?

会社は5日分の有給休暇を時季指定しただけでは足りず、実際に取得させることが必要です。
基準日から1年以内に5日分の時季指定はしたものの、実際に取得はしていない場合、法違反となります。
また、会社が時季指定をしても、労働者が有給休暇の取得を希望せず、自らの判断で出勤し、会社がこれを認めてしまった場合、現実に有給休暇を取得していない以上、法違反となります。

一方で仕事量に関わらず労働者が有給休暇取得を希望しない場合は、義務化の経緯を説明し、取得してもらう必要があります。

違反すると、罰則として30万円以下の罰金が科されることがあります。
しかし、「労働基準監督署の監督指導において、法違反が認められた場合は、原則としてその是正に向けて丁寧に指導し、改善を図っていただくこととしています。」とされています。
現在のところ、よほど悪質な事例ではない限り、即座に罰則が科せられるということはないかもしれません。

労働者のためには一定以上の有給休暇を与えることが望ましいので、有給休暇の義務化に対応できるよう会社の状況を整えていく必要があります。

>>厚生労働省 年5日の年次有給休暇の確実な取得