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【雇用関係助成金】とは?受給には申請や流れを知るだけではなく勤怠管理も重要です!

【雇用関係助成金】とは?受給には申請や流れを知るだけではなく勤怠管理も重要です!

人口減少に伴い、日本の現状は、労働者の確保がますます困難になっており、政府はその現状を解消するために、「雇用の確保、及び雇用の安定を実現する」助成金制度を拡充しています。

雇用関係助成金制度とは、会社が対象となる雇用に関する取り組みをおこなうことにより、助成金を支給するものです。
雇用関係助成金の財源は、会社が負担している雇用保険料の一部ですので、雇用保険に加入している会社は、受給する権利があります。

助成金は、会社の純利益扱いとなり、使い道は自由で返済は不要です。

50万円の助成金を受給した際の効果を経常利益率3%と見積もって単純に計算すると
500,000円(助成金受給額) ÷ 0.03(経常利益率)=16,666,666円約1千6百万円
の売上相当となります。

 

雇用関係助成金制度では、どんな取り組みをすればいいの?

対象となる取り組みは、労働者の雇用維持を図る、離職する労働者の再就職支援を行う、新たに労働者を雇い入れる、労働者の処遇や職場環境の改善を図る、障害者の雇用、仕事と家庭の両立支援やワーク・ライフ・バランス、女性の活躍推進に取り組む、労働者等の職業能力の向上を図る、人材の育成、介護・育児休暇制度の充実などで、2017年現在、その数は、50種類以上あります。

雇用関係助成金を受給することができるのは、少なくとも以下の条件を満たしている会社です。

  • 雇用保険適用事業所の事業主である
  • 支給のための審査に協力し、必要な書類等を整備・保管し、求められた場合に応じる
  • 申請期間内に申請を行う など

実際に取り組む雇用関係助成金ごとに必要となる要件がありますので、それに該当するかどうかも考慮しなければなりません。

 

雇用関係助成金を受給することができない会社とは?

以下の内容に該当する会社は、雇用関係助成金を受給することができません。

  • 不正受給から3年以内である、あるいは支給申請日後、支給決定日までの間に不正受給した事業主
  • 支給申請日の属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない事業主(支給申請日の翌日から起算して2ヶ月以内に納付を行った事業主を除く)
  • 支給申請日の前日から起算して1年前の日から支給申請日の前日までの間に、労働関係法令の違反があった事業主 暴力団関係事業主、性風俗関連、接待を伴う飲食等営業、またはこれら営業の一部を受託する営業を行う事主など

 

会社が取り組みやすいキャリアアップ助成金とは?

キャリアアップ助成金とは、有期契約労働者(契約社員等)、短時間労働者(パート・バイト)、派遣労働者といった、非正規雇用労働者を会社内で正社員転換・人材育成・処遇改善などのキャリアアップを促進するといった取り組みを実施した事業主に対して支給されるものです。

「キャリアアップ助成金の正社員化コース(有期雇用⇒正規雇用)」では、有期雇用の契約社員やバイトを正規雇用にする取り組みをおこなうことで、57万円の助成金が受給できます。(平成29年度時点)

キャリアップ助成金の正社員化コースであれば、1事業所につき15名分まで申請ができるので、有期雇用⇒正規雇用転換の場合には、
57万円×15名=855万円
の受給が可能となります。

 

キャリアアップ助成金の流れとは?

<正社員化コース 有期雇用⇒正規雇用転換の場合>

  1. キャリアップ管理者を配置
  2. キャリアアップ計画書の作成・提出
  3. 就業規則、労働協約またはこれに準ずるものに正社員の転換制度を規定(労働者に周知)
  4. 対象者(6ヶ月以上雇用の有期雇用者)を正社員転換するに際し、就業規則等の転換制度に規定した試験など実施
  5. 正規雇用への転換を実施(対象者を雇用保険・社会保険に加入させる)
  6. 正規雇用転換後、6ヶ月分の賃金を支給
  7. 支給申請を実施
  8. 支給審査を経て、支給決定

 

キャリアアップ助成金を受給するために重要なことは?

キャリアアップ助成金支給申請書の書き方は、難しいものではありません。
記入するのは、キャリアアップ計画書の受理番号や会社の名称・住所など、すでに決まっている内容だけです。

重要なことは、キャリアアップ計画書や申請書を提出する「タイミング」、また、一緒に提出する書類内容の「整合性が取れているか」です。

計画書や申請書の提出には、締切日があるため、その時期を過ぎると提出することができなくなります。
キャリアップ助成金(正社員化コース)支給申請提出の場合は、残業代計算の締切日によっては、申請期限が通常の2ヶ月以内よりも短くなることがあります。

支給申請書と一緒に提出された10種類以上の書類について、助成金支給審査がおこなわれます。

雇用契約書上の雇用形態に誤りがないか、就業規則に記載されている手続きに従って正社員に転換されたか、キャリアアップ計画書に記載されている内容と事実が合致しているかどうか、提出した出勤簿(タイムカード類)や賃金台帳の出勤日数や残業した時間通りに賃金が支給されているかなども確認がおこなわれる点です。
支給申請時に提出する帳簿類は、日頃からしっかりと整備しておくことが重要です。

雇用関係助成金を受給したいがために、出勤簿またはタイムカード、賃金台帳を偽造することは不正受給とみなされます。

勤怠を正しく記録するために勤怠管理システムの導入を検討される方もいらっしゃいますが、いざ検討を始めると、費用が高くて躊躇される方が少なくありません。
そのようなときは、安価ですぐに導入可能な勤怠管理クラウドシステムの「CLOUZA」を試してみてはいかがでしょうか。

 

雇用関係助成金で留意しておくべきことは?

雇用関係助成金が実際に銀行口座に振り込まれるのは、支給申請後、早いもので3ヶ月、長いものだと1年半ほどかかることがあります。
会社都合退職者がでると申請ができなくなったり、年度によって、助成金制度内容が変わったり、予算額を達成すると打ち切りになる可能性もあります。

雇用関係助成金は、受給すれば雇用の促進や経営の安定、事業を拡大するチャンスにもなり得ます。
今回、ご紹介した「キャリアップ助成金の正規化コース」は取り組みやすい助成金ですので、対象者がいる会社であれば、トライしてみる価値があると思います。

雇用関係助成金の助成金についてご不明な点は、社会保険労務士に相談してみてください。

参考文献:東京労働局キャリアアップ助成金 必要書類チェックリスト