勤怠管理システム導入で検討すべき、平成30年度 助成金情報!
勤怠管理システムを使いたいと思っていても、導入コストがかかるため、なかなか踏み切れない会社の方も多いかと思います。
国(厚生労働省)が行っている平成30年度の助成金事業の中に、労務管理用機器やソフトウェア(勤怠管理システム)導入が対象となっている中小企業向けの「時間外労働等改善助成金」があります。
今回はその概要を解説します。
「時間外労働等改善助成金」とは?
長時間労働による過労死や過労自殺の問題が取りざたされ、労働時間だけでなく働く人の健康に対する意識も高まっています。
「時間外労働等改善助成金」は、残業時間を減らす、有給休暇の取得促進を行う、残業時間の上限を定めるなど、働き方改革に沿った対策などを行う会社に対して助成されるものです。
中小企業が目標を掲げて取り組みを実施し、その成果達成の度合いによって要した費用の一部が戻ってくる「経費助成」となります。
「時間外労働等改善助成金」は取り組む内容によってコースが分かれており、勤怠管理システム導入費用助成があるのは、以下の3つのコースです。
- 職場意識改善コース:有給取得促進・残業削減実行のための助成金
- 時間外労働上限設定コース:提出済み36協定に規定された内容を改善するための助成金
- 勤務間インターバル導入コース:退勤から次の出勤までに一定に時間を確保するための助成金
3つのコースの共通事項とは?
<中小企業事業主の範囲>
3つのコースはいずれも、AまたはBの要件を満たす中小企業が対象となります。
業種 | (A)資本または出資額 | (B)常時使用する労働者 |
小売業(飲食店を含む) | 5000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
<対象となる具体的な取り組み>
労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器等の導入・更新以外に以下の内容も経費助成の対象となりますので、組み合わせて助成金を利用することができます。
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部専門家によるコンサルティング
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
- 人材確保に向けた取り組み
- 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
(6.に関しては、パソコン、タブレット、スマホは対象となりません)
<取組みの流れと締切期限>
平成30年度における3つのコースの流れは、以下の通りです。
- 「交付申請書」を事業実施計画書などの必要書類と一緒に労働局へ提出(締切期限があります)
- 交付決定後、提出した計画に沿って取り組みを実施
- 労働局に「支給申請」を提出(締切期限があります)
締切期限を過ぎると、助成金を受給することができなくなります。
コース名 | 交付申請書締切 | 支給申請書締切期日 |
職場意識改善コース | 平成30年10月1日(月) | 平成31年2月15日(金) |
時間外労働上限設定コース | 平成30年12月3日(月) | 平成31年2月15日(金) |
勤務間インターバル導入コース | 平成30年12月3日(月) | 平成31年2月15日(金) |
また、国の予算額には制約があるため、上記の期日以前に、受付を締切る場合があります。
1.職場意識改善コース
<目的>
生産性の向上を図るため、所定外労働の削減や年次有給休暇の取得促進に取り組むことで「ワーク・ライフ・バランス」実現し、週労働時間60時間以上の雇用者の割合5%、年次有給休暇取得率70%の達成(平成32年度目標)を目指す。
<対象事業主と成果目標>
対象事業主(1)に該当する場合
前年における、労働者の年次有給休暇の年間平均取得日数が13日以下であって月間平均所定外労働時間数が10時間以上である事業主
■成果目標
ア 年次有給休暇の取得促進:労働者の年次有給休暇の年間平均取得日数を4日以上増加させる
イ 所定外労働の削減:労働者の月間平均所定外労働時間数を5時間以上削減させる
対象事業主(2)に該当する場合
労働基準法の特例として法定労働時間が週44時間とされており、かつ、所定労働時間が週40時間を超え、週44時間以下の事業場を有する中小企業事業主
■成果目標
所定労働時間の短縮:事業主が事業実施計画において指定した全ての事業場において、週所定労働時間を2時間以上短縮して、40時間以下とする
<支給額>
対象経費の合計額に対する助成金補助率は1/2から4/5、1企業当たりの上限額は50万円から最大150万円で、成果目標の達成状況により変わります。
「職場意識改善コース」の詳しい内容については、厚生労働省の以下のサイトをご覧ください。http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/syokubaisiki.html
2.時間外労働上限設定コース
<目的>
時間外労働の上限時間を適切に設定し長時間労働を見直すことで、働く方の健康や「ワーク・ライフ・バランス」を確保しながら、生産性を向上させる。
<対象事業主と成果目標>
平成28年度または平成29年度において「36協定」に規定する限度時間を超える内容の時間外・休日労働に関する協定を締結している事業場を有する中小企業事業主で、当該時間外労働及び休日労働を複数月行った労働者がいること。
■成果目標
事業主が事業実施計画において指定した全ての事業場において、平成30年度または平成31年度に有効な「36協定」の延長する労働時間数を短縮して、以下のいずれかの上限設定を行い、労働基準監督署へ届出を行うこと。
- 時間外労働時間数で月45時間以下かつ、年間 360 時間以下に設定
- 時間外労働時間数で月45時間を超え月60時間以下かつ、年間 720 時間以下に設定
- 時間外労働時間数で月60時間を超え、時間外労働時間数及び法定休日における労働時間数の合計で月80時間以下かつ、時間外労働時間数で年間720時間以下に設定
<支給額>
対象経費の合計額に対する助成金補助率は3/4から4/5、1企業当たりの上限額は50万円から最大200万円で、成果目標の達成状況により変わります。
「時間外労働上限設定コース」の詳しい内容については、厚生労働省の以下のサイトをご覧ください。http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/syokubaisiki.html
3.勤務間インターバル導入コース
<目的>
勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の「休息時間」を設けることで、従業員の生活時間や睡眠を確保し、健康保持や過重労働の防止を図るもの。
<対象事業主と成果目標>
対象事業主は、新規に勤務間インターバル制度を導入する中小企業、または、既に勤務間インターバル制度を導入済みでも設定されている休息時間数や対象事業場の労働者人数によっては対象となります。
■成果目標
9時間以上11時間未満、または、11時間以上の休息時間を設定し、目標を達成する。
<支給額>
対象経費の合計額に対する助成金補助率は3/4から4/5、1企業当たりの上限額は25万円から最大50万円で、成果目標の達成状況により変わります。
「勤務間インターバル導入コース」の詳しい内容については、厚生労働省の以下のサイトをご覧ください。http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/syokubaisiki.html
実際に取組みをされる際には、事業場の所在地を管轄する労働局、または雇用関係助成金を取り扱っている社会保険労務士へご相談することをおすすめします。