知らないと損する!家族を介護する時に役に立つ介護休業給付金について
高齢化社会が進行する日本。
それに伴い課題になっている「介護」。
介護は予期せずに発生するため、介護する側に相当な負担が強いられます。
現実的に働きながら介護をする場合はかなり過酷なものになるのが現状です。
時間や体力的にも辛い状況になります。
かといって、会社を退職して介護に専念する場合は時間や体力は問題ないかもしれませんが、お金が不安要素になります。
ただ、そんな介護が必要になった時に心強い制度があることをご存知でしょうか。
その制度が「介護休業給付金」です。
今回は、知らないと損する家族を介護する時に役立つ介護休業給付金の制度内容、支給期間、支給金額、申請方法などを解説します。
介護休業給付金とは?
介護休業給付金とは、労働者が家族を介護する際、労働者の金銭的な負担を少しでも軽くすることで介護休業しやすくすることを目的にできた制度です。
介護休業給付金は、以下の1.および2.を満たす介護休業について、支給対象となる同じ家族について通算93日まで(分割して取得する場合は3回まで)支給されます。
- 負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護(歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な便宜を供与すること)を必要とする状態にある家族(次のいずれかに限る)を、介護するための休業であること。
対象家族は、被保険者の、「配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)」「父母(養父母を含む)」「子(養子を含む)」「配偶者の父母(養父母を含む)」「祖父母」「兄弟姉妹」「孫」。 - 被保険者が、その期間の初日および末日とする日を明らかにして事業主に申し出を行ない、これによって被保険者が実際に取得した休業であること。
介護休業給付金の支給対象者
介護休業給付を受けられる方は以下の3つの条件をクリアする必要があります。
- 雇用保険の被保険者である方
- 介護休業開始日前2年間で1年以上雇用保険に加入している方
- 介護休業開始において1年以上同事業主の下で勤務している方
※賃金支払基礎日数が11日以上ある必要があります。
雇用保険の加入条件は、1週間の所定労働時間が20時間以上あること、かつ同一の事業所に継続して31日以上の雇用が見込めることが必要です。
基本的には介護休業を取得する際に、同じ職場で1年以上勤務していれば、介護休業給付金の条件は満たせる可能性が高いです。
ただし、介護休業は、産前・産後休業中に開始することはできず、介護休業の期間中にほかの家族に対する介護休業、産前・産後休業、育児休業が開始された場合、それらの新たな休業の開始日の前日をもって当初の介護休業は終了し、その日以降の休業は介護休業給付金の支給対象とはなりません。
介護休業給付金の支給額
介護休業給付金の1支給単位期間ごとの給付額(※1)は、「休業開始時賃金日額(※2)×支給日数(※3)×67%」により、算出します。
正確な金額はハローワークに提出いただく雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書により、休業開始時賃金日額が確定し、算出されますが、1支給単位期間において、介護休業期間を対象とした賃金の支払いがない場合の支給額は、介護休業開始前6ヵ月間の総支給額により、概ね以下のとおりです。
※1 給付額には上限があります。また、介護休業期間中に賃金が支払われていると減額される場合があります。
※2 休業開始時賃金日額は、原則として、介護休業開始前6ヵ月間の総支給額(保険料等が控除される前の額。賞与は除きます。)を180で除した額です。
※3 1支給単位期間の支給日数は、原則として、30日(ただし、介護休業終了日を含む支給単位期間については、その介護休業終了日までの期間)となります。
介護休業給付金に関する詳細は以下の厚生労働省のパンフレットをご覧下さい。
>>「介護休業給付の内容及び支給申請手続きについて」(厚生労働省)
介護休業給付金の申請方法
介護休業給付金の申請手続きは、原則として、事業主を経由して介護休業の終了日の翌日から起算して2ヶ月を経過する日の属する月の末日までに申請する必要があります。
ただし、被保険者本人が希望する場合は、本人が申請手続きを行なうことも可能です。
以下の必要書類を在職中の事業所を管轄するハローワークに提出します。
・受給資格確認に必要な書類
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
- 賃金台帳、出勤簿またはタイムカード
(1.に記載した賃金の額および賃金の支払い状況を証明することができる書類)
・支給申請に必要な書類
- 介護休業給付金支給申請書
(マイナンバーを記載) - 被保険者が事業主に提出した介護休業申出書
- 住民票記載事項証明書等
(介護対象家族の方の氏名、申請者本人との続柄、性別、生年月日等が確認できる書類) - 出勤簿、タイムカード等
(介護休業の開始日・終了日、介護休業期間中の休業日数の実績が確認できる書類) - 賃金台帳等
(1.の申請書に記載した支給対象期間中に支払われた賃金の額および賃金の支払い状況、休業日数および就労日数を確認できる書類)
地域ごとに異なる可能性がありますので、具体的な手続き、必要書類については在職中の事業所を管轄するハローワークにご確認することをお勧めします。
まとめ
介護休業給付金について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
介護は育児と違って先の予測が立たず、いつ終わるか分からないことが金銭的や精神的にも多大な負担を強いられます。
そのような時に介護休業給付金の制度が役に立つと思いますので、会社にまず相談し、介護休業給付金を申請してください。
企業にとっても経験豊富な人材を失うのは大きな損失となりますので、国と企業がどのように仕事と介護の両立をサポートしてあげられるかがますます重要になっています。
家族による介護には限界があるので、もはや個人や家族の枠を超え、社会全体、国民全体で理解し、支え合っていけたらいいですね。
【原稿執筆者】
社会保険労務士法人ユニヴィス 社会保険労務士
池田