知っておきたい!日本における年間休日平均と法律上の最低ライン
突然ですが、日本の全業種における年間休日の平均は何日か知っていますでしょうか。
年間休日とは、法定休日に法定外休日を加えた1年間の休日の総数のことです。
企業によって日数は大きく異なります。
昨今の風潮として、一般的な求職者はできるだけ休みが確保できる職場で働きたいと考えている傾向があります。
そのため、就職・転職時などには、これを超える年間休日を労働条件として記載している会社であることが選ばれる一つのポイントになっています。
今回は良く知られていない年間休日の平均日数、計算方法、法律上の最低ラインを知ることであなたの会社の年間休日数について現状を理解し、組織づくりに活かしていただくことを目的に解説します。
年間休日の平均日数
年間休日とは、その会社における1年間の休日の合計のことです。
一般的に、有給休暇や特別休暇(慶弔休暇やリフレッシュ休暇など)は含まず、土日の休みや夏季休暇、年末年始の休暇は含まれます。
あくまで会社の規則によるため、会社によって異なりますが、厚生労働省が実施した「平成30年就労条件総合調査」によると、年間休日の平均日数は107.9日です。
会社の規模別でみると、従業員数1,000人以上の会社では114.9日、300~999人の会社では112.5日、100~299人の会社では110.3日、30~99人の会社では106.4日となっており、「会社規模が大きくなるほど年間休日数も多くなる」という傾向があるようです。
また、同調査で年間休日が120日以上ある会社の割合を見ると25.0%です。
ちなみにこちらも会社規模別に割合を見ると、1,000人以上の会社では40.4%であることに比べて、100~299人の会社では29.9%、30~99人の会社では21.8%に留まり、会社規模によって開きが生じています。
例えば、「完全週休2日制、祝日、GW、夏季休暇、年末年始休暇」の休みが取れる会社ではだいたい年間休日120日以上休みが取れるはずです。
そのような会社が1,000人以上の会社に多いのが想定できます。
逆に言えば、上記のとおり休みが取れない会社ほど、他の会社より働く日数が多い、とみられてしまうかもしれません。
年間休日の計算方法
労働基準法には会社に対して、「法定休日は毎週少なくとも1日、または4週を通じて4日以上」「労働時間の上限は週40時間」と定めた条項があり、これらから逆算すると、「会社が確保すべき年間休日の最低日数」を以下のように算出することができます。
まず、1年365日÷週7日=約52週、これに1週間の労働時間の上限40時間を掛けることで、会社が従業員を1年間で労働させることができる上限時間は、2085.7時間だと分かります。
また、同じく労働基準法に「原則1日に8時間を超えて労働させてはならない」とも定められていることから、2085.7時間を1日8時間で割ると、1年間の最大労働日数が算出されます。
365日÷7日×40時間=2085.7時間
2085.7時間÷8時間=260日
1年間の最大労働日数260日を1年365日から引けば、年間休日数の最低ラインは「105日」ということが分かります。
365日-260日=105日
とはいえ、この105日は1日の労働時間が8時間とした場合ですので、例えば会社が定める所定労働時間が7時間であれば、最大労働日数は2085.7時間÷7時間=298日となり、年間休日数の最低ラインは67日になります。
「年間休日67日」は少なく感じるかもしれませんが、前述の4週4日の法定休日、週40時間の労働時間上限共にクリアしているため法律上は問題ありません。
このように、所定労働時間が短い場合には年間休日が少なくなります。
年間休日数の多い業界
それでは、どの業界が年間休日の平均日数が多いのか、厚生労働省が実施した「平成30年就労条件総合調査」によると、年間休日数の多い業界は次のとおりです。
- 学術研究,専門・技術サービス業、情報通信業・・・118.8日
- 金融業,保険業・・・118.4日
- 電気・ガス・熱供給・水道業・・・116.8日
- 教育,学習支援業・・・112.7日
- 製造業・・・111.4日
年間休日数の少ない業界
次に、同調査による年間休日数の少ない業界は次のとおりです。
- 宿泊業,飲食サービス業・・・97.1日日
- 運輸業,郵便業・・・100.3日
- 鉱業,採石業,砂利採取業・・・103.8日
- 建設業・・・104.0日
- 生活関連サービス業,娯楽業・・・104.6日
土日問わずに営業している宿泊やレストラン、運輸、建設など社会インフラ関係はやはり年間休日数が少ない傾向にあります。
まとめ
年間休日数について厚生労働省の調査データを元にみてきましたが、いかがでしたでしょうか。
年間休日数は会社ごとに就業規則で定められており、休日・休暇制度や休みの曜日も異なりますので、一概には言えないところもあります。
ですが、就職にあたり求職者は「仕事内容だけでなく、休みもきちんと取れる会社を選びたい」と考えている方も多いと思いますので、会社としては年間休日数の業界水準を理解した上で年間休日・休暇制度を充実できるよう、働く環境を整備していけたら良いですね。
【原稿執筆者】
社会保険労務士法人ユニヴィス 社会保険労務士
池田