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2019.05.20

キャリアアップ助成金を活用されていますか?

キャリアアップ助成金を活用されていますか?

最近では、人手不足の影響もあり、有期契約社員の賃金を上げる、有期契約社員を正社員にするといった会社が増えてきています。
このような場合、キャリアアップ助成金を活用できることがあります。
この助成金は、比較的使いやすく、また助成額も大きいので、おすすめの助成金の1つです。
そこで今回はキャリアアップ助成金が、どんな場合支給されるか、どのような手続きをしなければならないかについてご紹介します。

 

正社員化コースについて

キャリアアップ助成金は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者など、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度です。
中でも正社員化コース、健康診断制度コース、短時間労働者労働時間延長コースは、条件を満たしやすいことが多く、おすすめです。

>>厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク キャリアアップ助成金のご案内(概要)

正社員化コース

非正規雇用労働者を正規雇用労働者などに転換または直接雇用するコースで、以下のパターンがあります。

 

  1. 有期契約労働者→正規雇用労働者
  2. 有期契約労働者→無期契約労働者
  3. 無期契約労働者→正規雇用労働者
  4. 派遣労働者→正規雇用労働者
  5. 派遣労働者→無期契約労働者

正規雇用労働者とは、以下の全てをみたす者をいいます。

  • 期間の定めのない労働契約を締結していること
  • 派遣労働者として雇用されていないこと
  • 同一の事業主に雇用される通常の労働者と比べ、勤務地または職務が限定されていないこと
  • 所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同じであること
  • 同一の事業主に雇用される通常の労働者に適用される就業規則などに規定する、賃金の算定方法および支給形態、賞与、退職金、休日、定期的な昇給や昇格の有無などの労働条件について、長期雇用を前提とした待遇が適用されていること

ただし、多様な正社員(勤務地限定正社員、職務限定正社員および短時間正社員)へ転換した場合にも正規雇用労働者へ転換したものとみなされます。

正社員化コースにおけるその他の主な条件は、以下のとおりです。

  • 有期契約労働者、無期契約労働者については、支給対象事業主に6ヵ月以上雇用されていること
    なお有期契約労働者からの転換の場合、雇用期間が3年以内の者に限る
  • 派遣労働者については、6か月以上継続して派遣先の事業所、その他派遣就業場所ごとの同一の組織単位における業務に従事していること

     

    なお有期契約労働者から直接雇用にする場合、雇用期間(派遣元事業主に有期契約労働者として雇用された期間)が3年以内の者に限る

  • 転換後(直接雇用後)6か月間の賃金を、転換前(直接雇用前)6か月間の賃金より5%以上増額させていること

 

健康診断制度コース、短時間労働者労働時間延長コースについて

健康診断制度コース

有期契約労働者などを対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、延べ4人以上に実施した場合のコースです。

 

 

雇入時の健康診断や定期健康診断について、会社は、原則として労働者に受診させ、その受診料を負担する義務があります。
しかし週の所定労働時間が、通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3未満であるパート労働者などについては、上記義務の対象外です。

 

しかしパート労働者の健康ももちろん大切ですから、それらの労働者に対しても健康診断の受診料を会社負担にしようとお考えの経営者の方もいらっしゃいます。
健康診断制度コースはそのような際に、よく使われる助成金です。

なお、このコースの対象となる労働者は、健康診断を受診する日に、当該対象適用事業所において、雇用保険被保険者であることが必要です。

【関連ページ】
社員・パートの健康診断は会社が負担?会社が求められる対応とは

短時間労働者労働時間延長コース

このコースのうち、よく使われるのは、短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し新たに社会保険に適用した場合です。

 

主な条件は、以下のとおりです。

 

  • 週所定労働時間を5時間以上延長した日の前日から起算して、過去6か月以上の期間継続して、有期契約労働者などとして雇用されたこと
  • 週所定労働時間を延長した日の前日から起算して過去6か月間、社会保険の適用要件を満たしていなかった者であること

詳細はパンフレットをご覧ください。

>>厚生労働省 都道府県労働局 ハローワーク キャリアアップ助成金のご案内(詳細なパンフレット)

 

キャリアアップ計画

キャリアアップ助成金を利用するには、キャリアアップの取り組みを始める前に、キャリアアップ計画を提出しなければなりません。
キャリアアップ計画とは、今後のおおまかな取り組みイメージ(対象者、目標、期間、目標を達成するために事業主が行う取り組み)をあらかじめ記載するものです。
様式は、厚生労働省のホームページよりダウンロードできます。

 

就業規則について

キャリアアップ助成金を利用する際、あらかじめキャリアアップ制度について、就業規則などで定めなければならない場合があります。

正社員化コース

有期契約労働者などを正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換する制度を、労働協約または就業規則その他これに準ずるものに規定した上で、その制度に基づいて転換することが必要です。

健康診断制度コース

キャリアアップ計画書に記載されたキャリアアップ計画期間中に、事業主に実施が義務付けられていない有期契約労働者などを対象とする雇入時健康診断制度、定期健康診断制度または有期契約労働者などを対象とする人間ドック制度を、労働協約または就業規則に規定した上で、その制度に基づいて健康診断を実施することが必要です。

 

支給申請について

キャリアアップの取り組みを行ったら、支給申請をします。
様式は、厚生労働省のホームページよりダウンロードできます。
各コースそれぞれに申請期限があり、これを過ぎてしまうと助成金が支給されなくなってしまうため、ご注意下さい。

 

>>厚生労働省 申請様式のダウンロード(キャリアアップ助成金)