CLOUZA COLUMN

勤怠管理コラム

最近、働き方改革の一環で、サラリーマンの副業を認めることが、一人一人に合った働き方が選択できる社会につながるのではないか、という議論がされています。

ただし、自社の社員に積極的に副業を認めたい、とお考えの経営者様は多くないと思います。

そこで、今回は、副業のメリット・デメリットを考えながら、社員の副業について会社はどう対応すべきなのか、主に就業規則の定め方・運用方法という観点から考えたいと思います。

 

サラリーマンの副業を巡る趨勢

従来日本では、サラリーマンは自社の業務のみに集中すべきだ、という考え方が一般的で、副業をするというのはなかなか見られないことでした。
しかし最近では、1社で毎日8時間働くだけではなく、各人の事情に合った労働時間、労働形態を選べる方が良い、という考え方が広まりつつあります。

実際、働き方改革実現会議では、安倍総理が「副業・兼業はオープンイノベーションや起業の手段としても有効であり、その普及を図っていくことは極めて重要である」旨述べています。

そこで、今後徐々に副業が広まることも考えられます。

 

副業の種類

かつて副業と言えば、他社の業務に従事することが一般的でした。
しかし現在では多種多様な副業があります。

例えば、最近よくあるものは以下のようなものです

  • インターネットを介して記事作成やデータ入力など様々な仕事を請け負うクラウドソーシング
  • ブログ等に広告を掲載するアフィリエイト
  • FXや株式売買などの投資

 

副業のメリット・デメリット

では社員に副業を認めることで、会社にはどんなメリット・デメリットがあるでしょうか。
まず、会社にとって副業を認めるメリットは、一般に以下のようなものが挙げられます。

・優秀な人材を確保できる
前述のように、サラリーマンの副業は社会的要請という側面があります。そこで、副業を認めることで、会社の魅力が高まりより優秀な人材を確保できる可能性があります。
・社員のスキルアップ
本業とは異なる業務内容の副業を行うことで、社員のスキルアップが望めます。また副業を通して新たな人脈を獲得し、それが本業に生きるといったことも考えられます。
・社員に主体性が生まれる
自ら新たな仕事を行い、稼ぎを得ることで社員に主体性が生まれるという点も指摘されます。今の時代、主体性なく言われたことをするだけの社員さんでは困りますので、これもメリットとなるかもしれません。

一方でデメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

・社員の疲労がたまる
副業により、多かれ少なかれ時間を取られるため、本業で既に忙しい社員は健康を害する可能性があります。
・本業との競合、情報漏えいのリスク
本業と似通った業務内容の副業を行う場合、本業で得た有益な情報等が副業先に漏えいしてしまう危険性があります。その場合、仕事上対立し、会社に不利益をもたらす可能性もあります。
・会社の信用を落とすリスク
仮に自社の社員が、社会的に見て望ましくないような業務に副業として従事している場合、会社の信用まで落としてしまう、ということも考えられます。

 

副業に対する会社の対応

以上のようなメリット・デメリットがどの程度発生するかは、副業の内容や、それに費やす時間等によって変わってきます。
そこで、会社としてはその時々の状況に応じた柔軟な対応が望ましいと考えられます。

社員の副業への対応として一番に考えられるのは就業規則です。
そこで副業について、どのような形で就業規則に定めるかが問題となってきます。

まず初めに、「副業を絶対的に禁止する規定」を設けることは、許されないと考えられています。
会社の業務時間外に何をするかは、基本的に社員の自由であり、副業を完全に禁止することはその自由を奪うことになってしまうからです。

次に、「副業は自由にやってくれて結構」ということであれば、その旨就業規則に定めれば良いことになります。
しかし副業は本業にも悪影響を及ぼしかねないものなので、積極的に推進されたい経営者の方はまだ少ないでしょう。

そこで、おすすめなのが副業を許可制とすることです。
例えば、遵守事項の1つとして「許可なく他の会社の業務等に従事しないこと」といった規定です。
これであれば、副業の内容・労働時間・働く時間帯等を社員から聞いた上で、上記のようなデメリットが発生しないか等を勘案して許可を出すかどうかを決めることができます。

ただし、その判断には合理性が求められる点に注意が必要です。

例えば、

  • 本業の労働時間と副業の労働時間を合計すると、明らかに社員の健康を害することが予想される場合
  • 会社固有の技術やノウハウが漏えいする危険性が高い場合
  • 会社の品位を落とすような業種に副業として従事しようとする場合

などは一般的に見て不許可の合理性が認められやすいと言えます。

また、副業を認める場合に、社員に誓約書を書いてもらうという手もあります。
内容としては、「本業の就業時間中に副業をしてはならない」など会社として避けるべきことを盛り込むと良いでしょう。