CLOUZA COLUMN

勤怠管理コラム

正社員、契約社員、パート、アルバイトとして働く場合は、直接、企業と雇用契約を結び、就労関係が始まります。

派遣社員が働く場合は、間接雇用とも呼ばれるように「派遣会社(派遣元)」と「派遣先企業」、二つの会社との関係が発生します。

派遣社員の雇用契約は、派遣元だけれど、実際に仕事をする場所や支持は、派遣先。
派遣元と派遣先のどちらが、どの範囲まで管理し、責任を負うのだろうか・・・?
その責任分担の範囲について、実際は、よく分からないと思っている方も多いのではないでしょうか。

今回は、派遣の2018年問題である「無期雇用派遣」も交えて、煩雑と言われている派遣社員にかかる労務管理・勤怠管理を前編と後編に分けて解説します。

 

そもそも労働者派遣事業とは?

労働者派遣事業とは、派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、派遣先のために労働に従事させることを業として行うことを言います。
つまり、派遣社員と派遣元事業主との間には、「雇用関係」があり、派遣社員と派遣先との間には、業務を行うための「指揮命令関係」があります。

派遣会社(派遣元)との雇用契約の形態としては、主に、以下の2つがあります。

登録型派遣
あらかじめ、派遣会社(派遣元)に登録を行い、派遣先決定後、派遣元と雇用契約を結び、派遣期間が終了したら、雇用契約も終了します。
常用型派遣
派遣会社に採用された時点で派遣会社と直接雇用契約が成立。派遣先で働いていない期間でも雇用は継続のままであり、派遣先の仕事が決まったら、その派遣先に常駐し、派遣先企業での就業期間が終了しても、派遣会社(派遣元)と雇用関係は終了しません。

一般的に、派遣社員というと、「登録型派遣」の形態を思いうかべる方が多いと思います。

この2つ以外に「紹介予定派遣」と呼ばれる、正社員として正式に就業する前に、一定期間(最大6ヶ月間)を人材紹介会社の派遣スタッフとして勤務するものもあります。

 

派遣の2018年問題?!無期雇用派遣って何ですか?

今年、2018年に派遣の問題として、次の2つのことが発生します。

・平成25年(2013年)4月に改正された『労働契約法』の「無期労働契約への転換」
「無期労働契約への転換」は、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申込み(希望)によって無期労働契約に転換されるルールのことです。
この「5年ルール」の無期労働者への転換は、派遣社員でも適用され、期間の定めのない契約へ転換した「無期雇用派遣」という働き方となります。

・平成27年(2015年)10月に改正された『労働者派遣法』の派遣期間制限(3年)
派遣期間制限は、派遣事業者に対するものと、派遣労働者個人に対するものがあります。
派遣事業者が同一の派遣先事業所に派遣労働者を派遣できるのは、3年を上限とします。(ただし、派遣先で過半数労働組合等からの意見聴取があれば、可能)
有期契約の派遣社員個人が派遣先の同じ課やグループなど(同一の組織単位)へ派遣される場合、働ける期間の限度が原則、3年になります。これは、同一の事業所への派遣期間制限(3年)とは別に設けられた「派遣社員個人単位」の期間制限です。
(ただし、無期契約で派遣会社に雇用されている派遣社員には、この期間制限は適用されません)

ちょうど、無期労働契約への転換である「5年ルール」は、2013年から5年目の2018年4月から、派遣期間制限の「3年ルール」は、2015年から3年目の2018年10月から生じることとなります。

 

派遣社員の勤怠管理は派遣元?派遣先?派遣法では派遣先に責任あり!

派遣社員の出退勤管理は、あらかじめ派遣元から提供された所定の用紙に出勤及び労働時間等を記載や入力を行い、派遣先上司の確認を受けた上で、所定の期日までに派遣元担当者に提出するという処理をしているというケースが多いです。

労働契約は派遣元だから、派遣先での派遣社員の労務管理が必要ないという訳にはいきません。

厚生労働省より告示された「派遣先が講ずべき措置に関する指針」の労働者派遣契約に定める就業条件の確保によれば、「派遣先において、労働者派遣契約を円滑かつ的確に履行するための措置や、その他派遣先の実態に即した適切な措置を講ずること」とされています。

派遣中の労働者に関する派遣元・派遣先の責任分担として労働基準法等では、大まかに以下のような扱いとなっています。

<派遣先>
労働時間、休憩、休日、時間外/休日労働等、危険防止等のための事業者の講ずべき措置など
<派遣元>
賃金、年次有給休暇、災害補償、給与支給、雇い入れ時の安全衛生教育、一般健康診断など
(派遣元の36協定の範囲内で時間外/休日労働が可能)

労働者派遣法第44条では、派遣中の労働者の保護を図るために、本来、派遣元事業主が負担すべき責務を、派遣先事業主(派遣先)の指揮命令を受けて労務を提供する範囲において、派遣先に労働基準法の使用者としての責任を負わせています。

そのため、法律上、派遣社員の勤怠管理の責任は派遣先となります。

 

派遣社員の勤怠管理方法のコツとは?

派遣元は、給与計算のために、割増賃金等の計算の基礎となる派遣社員の実際の労働時間等について、派遣先に情報提供を求めることとなります。

派遣元が賃金を正確に支払うためには、派遣先が勤怠管理をしっかり行うことが重要です。
派遣されているスタッフが勤怠管理の用紙やExcel表を個人管理し、派遣先上長に承認依頼を実施し、最終的に派遣元の管理者に提出をするとなると、どうしても提出された後に、人事担当者など管理者は確認作業を行う形となります。

そのため、残業時間を集計してみたら、派遣元36協定の上限時間を超えてしまい、法律違反となっていた・・・ということにもなりかねません。

勤怠管理クラウドシステムであれば、派遣社員の勤怠時間の状況や集計を派遣元と派遣先、また、派遣社員自身が、リアルタイムに確認することができるというメリットがあります。
離れている派遣社員でも、労働時間の可視化ができるため、知りたいときに就業状況にアクセスできます。

この機会に、勤怠管理クラウドシステム導入をご検討されてみてはいかがでしょうか。
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次回、後編にて派遣社員ならではの勤怠管理・労務管理について、様々なトラブルを含めての事例をご紹介します。

後編はこちらをご確認ください。
派遣社員の勤怠管理、給与計算方法のコツとは?【後編】 派遣社員ならではの勤怠管理・労務管理トラブルとは?